ロウバイの地味な秘密
ロウバイの花には地味な変化があります
ソシンロウバイ
中国原産の花木で、花の少ない冬期に香りのよい花を咲かせます。
「ロウバイ」は花の中央が紫色ですが、全体が黄色のものは「ソシンロウバイ」です。また中央にうすい紫の円を描き、花色が濃い黄色の「満月ロウバイ」などの品種もあります。いずれも透き通った蝋細工のような花が特徴です。
植物園では、例年よりやや早くソシンロウバイの開花が始まりました。年末から年明けにはロウバイも咲いてきそうです。
ロウバイの花の微妙な表情の違いを感じたことはありませんか?
咲き始めは花の中央に星がひとつ入っているように見えます。この時期は中心のめしべが発達し、おしべは外側に倒れています。この段階では、おしべはまだ花粉を出していません。少し時間がたつと、倒れていたおしべが起き上がり中央に集合します。するとめしべはおしべに囲まれて見えなくなるため、花の中心にロケットや塔がたっているように見える時期となります。おしべは花粉を出すようになりますが、自家受粉を避けるため、花粉が入っている葯(やく)の外側からしか花粉を出さないという徹底ぶりです。
ロウバイは花や葉、枝が対になるという「対生(たいせい)」という性質もあります。仲良く並んだ双子のような花でも、成熟の段階は別々です。これから迎える開花シーズンにぜひ花を覗き込んでみてください。ロウバイの地味な秘密を知ることができるでしょう。
ちなみに受粉すると種の入った「実」ができるようになりますが、その姿は枝にぶらさがったコウモリのようです。もしくは深海生物にこんな形のものがいるかも・・・と思わせるような変わった形状です。