パンジーとビオラの世界
冬の定番パンジーとビオラ
冬の花壇にはどんな花を植えているでしょうか。
夏の花壇は地域によってそれほど大きな差はありませんが、冬は寒さの程度によって花壇の内容が異なってきます。例えばここ、智光山公園では厳冬期にはマイナス5~6℃まで冷え込むこともあり、凍結や霜の影響を強く受けます。この寒さに耐えられる種類としてはハボタンやパンジー・ビオラがメインの花壇となります。同じ市内でも住宅地などの日当たりの良いお庭ではストックやノースポール、カレンジュラ、ガーデンシクラメンなど露地植えで楽しめる種類に幅があるのではないでしょうか。
さて、パンジーとビオラ、姿はとても良く似ていますが、区別がつきますか?
以前は花の大きさが5cm以上のものをパンジー、以下のものがビオラとされていました。現在は品種改良が複雑になり、正確に区別されない品種も増えています。かつては野生のスミレと同様に冬を越して開花する春の花というイメージでしたが、近年、秋口から開花する性質も強くなってきました。
花びらは後ろ側の2枚の上弁、左右2枚の側弁、下側の1枚の下弁という構造です。5枚の花弁が全て同じ色のもの、上弁2枚の色が異なるもの、全体にグラデーションが入るもの、などバラエティ豊かです。ひとつの花に複数の色が入るものもめずらしくありません。個性が際立つ「ブラックパンジー」など黒い花もあり、どんな色でもそろうのがパンジー・ビオラですが、グリーンの花だけは今のところありません。
最近は花色に幅がある「シェードカラー」「アンティークカラー」が人気。一種類でも表情があり、ヴィンテージ感のある鉢によく似合います。
中心にブロッチと呼ばれる目のような模様が入る種類もあり、中心から放射状にのびる線が入るタイプもあります。ブロッチの入り方から「おじさん顔」や「サル顔」に見える、という品種もありますね。上弁2枚が細長く伸び「うさぎ」のように見えるビオラのシリーズもあります。
パンジーの花の語源はフランス語の「パンセ(思索)」だそうです。ちょっとうつむきながら咲く姿が物思いにふける人の顔に見える、ということに由来しています。花言葉も「物思い」「私を思って」。何かを考えこみながらじっと厳しい寒さに耐える花たちです。春の華やかな姿にご期待ください。