異なる種との暮らし
山本飼育係
2022年6月30日(木)
フライングケージでは10種類以上の鳥を同じ生活空間で飼育しています。
複数の異なる種を同じ場所で展示することを「混合展示」と言います。
混合展示は様々な種を一度に観察することができる展示方法です。
しかし、同じ空間で飼育していて争いが起きないのかという疑問を持つ人もいるかと思います。
確かに、狭いスペースに複数の種がいると場所の取り合いになります。
そのため、混合展示にはまず十分な広さが必要になります。
広いスペースがあれば、逃げたり、隠れたりする場所が確保できます。
また、動物の種によって水生と陸生や地上性と樹上性など、分かれて生活する種であれば同居はしやすくなります。
でも、中には同じ空間に入れることができない種もいます。
フライングケージではギンガオサイチョウという鳥を飼育していますが、他の種とは分けて展示しています。
その理由は食性です。
ギンガオサイチョウは主に果実を食べますが、野生下では鳥類の卵を食べることがあります。
そのため、他の鳥と同じ場所に入れると、その鳥の卵を食べてしまう恐れがあるため、同居はできません。
混合展示をする上では動物の食性を考慮することが大切です。
また、混合展示のメリットは、生態や行動の違いを観察しやすくすることです。
1つ例を挙げると、ハワイガンとインドガンの違いです。
同じ水鳥の仲間ですが、ハワイガンは岩稜地帯に生息しているので、インドガンに比べ水掻きが小さいです。
それと、餌の食べ方にも違いがあります。
ガンの餌は水禽用ペレット(水鳥用固形飼料)と鶏用配合飼料と小松菜を与えています。
ハワイガンは、まず水禽ペレットを一粒ずつゆっくり食べますが、インドガンは小松菜を真っ先に食べます。
他にもフライングケージでは、多種を混合展示しているので、種ごとの違いにぜひ注目してください。