今できること
(2020年7月31日)
   
 

 今年のシロフクロウは求愛行動を始めるのがいつもより早いなと思っていると、そのままの勢いで産卵、抱卵と進みました。日本の梅雨と埼玉の暑い夏はシロフクロウにとってはとんでもない災難です。しかし、季節の移り変わりに伴って繁殖行動はおきます。卵を産ませない、抱かせないことは好ましいことではありません。ならば少しでも時期がずれればと思い、今年はそのまま様子を見ることにしました。そして、いつもより半月ほど早くヒナが孵化しました。初めての子育てでしたが上手に育てていたようにみえました。しかし、お天気が味方をしてくれず、孵化から2週間ほどたった時、降り続いた雨により巣が水没してしまいました。展示場には狭いながらも屋根があるところ、少し地面が盛り上がっているところ、砂地など巣として選んでもらえる場所を用意してあります。今までのメスたちはそれぞれ良いと思われる場所で産卵し、ヒナを育ててきました。降り続く雨の中、巣の水没という事態は起きたことがありませんでした。今回選んだ場所は屋根もなくやや低地で条件の悪いことが重なりました。直射日光にさらされたため、抱卵に入ってから日除けを設置するなど対策をとってきましたが、雨水の侵入は止められませんでした。幸い発見が早かったのですぐに保護し、体温が下がる前に乾かすことができました。巣から離れる時期が来ていたようで(シロフクロウは巣立つよりかなり前から巣から離れて近くをうろうろします。巣立ちではありません)屋根のある、少し小高い、乾いた土の場所に新しい巣を作って戻したところ、メス親が戻り、またオスも餌を運んでくれました。しかし、動き回り、疲れればその場でうつぶせになって休むこの時期に毎日の雨で、弱っていた皮膚に傷がつき治療が必要な事態となりました。生後4週間目の事でした。連日の治療のため、管理室に収容し経過を見ることとなりました。再び幸いだったことは、餌であるヒヨコやマウスを丸のまま飲み込めるようになっていたこと(それ以前は親が小さく食いちぎってヒナに渡す)と、ペリットをきちんと吐けたことです。傷の発見が早く、体力もあったようでその後は順調です。今までの記録と比較しながらえさの量を調整しているところです。

 展示場からヒナがいなくなってから2週間ほどで、親たちが警戒を解いてくれました。これからは暑い夏が本番です。展示場のペアには体力を取り戻してもらい、人の手で育っているヒナが一人前になったとき、再び快く受け入れてもらいたいと願う担当者です。

 

(小高)



 お知らせ
(2016年11月15日)
 
        

やっと新しいペアができ、抱卵、孵化、自然育雛と順調に進んでいたシロフクロウ達ですが、悲しいお知らせをしなくてはなりません。11月8日にメスのコロンが亡くなりました。餌を手元まで取りに来なくなったのは子育てが終わったのかと思っていました。餌はほとんど変わらずに食べているのを確認していたので、大事とは思っていなかった矢先に突然餌を食べない日があり、翌日捕獲して入院させましたが手当てするまもなく死亡しました。ブリーデイングローンで秋田からお借りした若い個体で、暑い埼玉の夏を子育てしながらよく乗り切ったとほっとしたところでした。大変残念ですが、ペアの間に新しい命が増えています。これからはこの新しい命をさらに続けていくために頑張りたいと思います。


(小)




  ペア誕生
(2016年5月15日)
 
  

先月の末から同居を始めた新しいペア。オスのバローがメスのコロンに求愛給餌を始めるのに時間はかかりませんでした。繁殖の経験のあるバローは何をどうすればよいかをよく知っていました。一日中低い声で鳴き、地面にくぼみを作ったりプレゼントを探したり。

ゴールデンウィークの終盤にはコロンがついにプレゼントの餌を受け取りました。そして同居から2週間で交尾行動を確認できました。今年は暑い埼玉の夏を健康に越すことが第1の課題だと思っていましたが、もしこのまま順調に進めば、クリアすべきことはすでに山積みです。新たなペア誕生はすごくうれしいのですが、あまりの展開の速さにびっくりです。


(小)




 新しいペアへ向けての第一歩
(2016年4月28日)
 
  

シロフクロウの展示室にオスが1羽だけになってしまって長い時がたってしまいました。
しかし、やっとメスが来ることになり、昨年末よりいろいろな手続きを経て3月に秋田市の大森山動物園からメスのコロンがやって来ました。こちらでの検疫を終了し、ようやく同居が開始されました。繁殖の時期には少し遅いかとも思われますが、コロンは3才です。今年は埼玉の暑い夏を元気に過ごすことを目標としゆっくりペアになっていってくれればと思っています。



(小)




ミスト浴び
(2012年7月13日)

  
暑くてたまんね〜          そうそうコレコレ!           満足じゃ!!


梅雨明けが早かったせいなのか、いきなりの酷暑です。シロフクロウにとっては過酷な毎日が続いています。


ツル舎の塗装の塗り替えのおり、飼育の作業室の片隅で2週間ほど人のすぐ近くで暮らしました。始めのうちはかなり緊張していましたが、23日で目隠しの陰で見ないふりをすることを覚えました。反面、餌を人から受け取れるようにもなり、ツル舎に戻ってからも、今までより人との距離が縮まったような気がしていました。


毎年、暑くなると昼間はミストを出して涼んでもらってますが、今年もしばらく前から使い始めていました。朝の掃除が終わりミストを出すと、しばらくしてから近くによってきます。そして、高いところへ戻っていきます。



(小)




悲しいお知らせと小さな希望
(2012年7月31日)

  
生後16日              生後32日               生後35日
    まるでヨー○のよう     かわいらしくなってきました    眉毛?!があるように見える…。 

 
3羽のヒナの孵化をお知らせして、もう少し目隠しをしたままでいますと掲示をしたのもつかの間、7月14日にメス親が死亡してしまいました。また、衰弱していた2羽のヒナも救えませんでした。

今年も例年どおり5月に入ってから求愛給餌が観察され、20日に1卵目を産み抱卵を始めました。6月の中旬に7卵あることを確認、23日に1羽目が孵化しました。毎年2羽のヒナが今年は3羽も孵り、忙しそうに餌をちぎっては与えていました。死は突然でした。前日まで何も変わらなかったそうです。産卵、孵化、育すうと巣に座り続け、しかも3羽のヒナがいてストレスが大きかったのかもしれません。そして暑さです。扇風機で風やミストを送り少しでも涼しくなるようにしていますが、急な気温の上昇についていけなかったのかもしれません。

メスが死亡した翌日にはヒナを保護しました。孵化した日がそれぞれ違うので体の大きさにだいぶ差がありましたが、助かったのは一番小さなヒナでした。7月の16日から始まった人工育すうは、1週間後の22日に初めてペリットを吐いたことで調子が良いことがわかりました。6月27日生まれのヒナだと思われるので、1ヶ月を過ぎたところです。以前のヒナと比べるとさすがにやや小さいようですが、確実に毎日成長しています。自分で餌を食べられるようになったら、展示場に戻したいと思っています。しばらく1羽だけの展示になってしまいますが待っててください。



(小)




待望の孵化
(2011年11月29日)



「タイガ」(オス)が、お婿さんとして引っ越しをしました。

2010年7月7日に当園で初めてうまれた個体です。1才も過ぎ体は真っ白になりました。シロフクロウは雌雄で体の色が違い、オスは全身白くなるのが特徴です。
ですから、タイガはオスであろうと思われましたが、幼鳥でははっきりしないこともあるので、血液検査をして確認をしてみました。動物園では♂♀がはっきりしない種は血液や羽などを使って検査をしています。その結果、やはりオスということがわかりました。

繁殖の季節に、親たちの繁殖を邪魔しないように分けて飼育していましたが、岡山県にある「池田動物園」からペアリングの話があり、お婿さんに行くことが決まりました。
そして11月18日に池田動物園に引っ越しをしました。

向こうで立派な父親になってほしいと願っています。今まであたたかく見守ってくださったみなさま、ありがとうございました。


(関根)




待望の孵化
(2011年8月19日)



待ちに待った、ヒナがうまれました。
それも7月16、17日と1羽ずつ合計2羽が誕生です。

5月に抱卵をやめてしまったときは、巣に雨が入らないようにしておけばよかったという後悔がありました。次回は同じことが起きないようい準備しようと考えていると、6月10日に2度目の抱卵をはじめてしまいました。まさかこんなに早く次の機会が来るとは思っていなかったのでおどろいてしまいました。

野生のシロフクロウはなんらかの原因で抱卵を中止しても、その年にまた卵を産んであたためます。生命の強さを間近で知ることができました。

そして7月16日の朝、巣から聞きなれない声が聞こえてきたのです。
そろそろ孵化の予定だったので、まさかと思い巣を見に行くと、母鳥のお腹の下にヒナの姿が見えました。体が小さく、目も開いていない姿を見て「今度は無事にうまれてきてくれてありがとう」という感謝の気持ちでいっぱいになりました。

毎日オスが餌を巣に運び、メスが餌を与える子育ての姿を見ることができます。

ですが残念ながら7月17日にうまれた個体は7月30日の朝、巣の外で死んでいました。親が2羽とも育てるのを断念したのか、餌が不足していたのかまた、いろいろ考えさせられました。

16日にうまれた個体はすくすくと育っています。
今ではヨチヨチと歩くかわいらしい姿や、地面に横になっている姿も見られます。足を広げて横になっている姿を最初に見たときには死んでしまったのかと焦りましたが、何事もなく立ち上がる姿を見てほっとしました。
うまれたばかりのヒナは足がしっかりしていません。寝るときには足を広げて寝てしまうのです。

まだまだ暑い日が続きこれからのヒナの成長が心配で仕方ありません。
彼らは寒い地域にすんでいます。ですから夏の暑さはとても過酷です。
少しでも涼しくなってもらえるように、扇風機を回したり、ヨシズで日陰を作ったり、暑さ対策に力が入ります。

現在シロフクロウ舎前にはヨシズが張られ見えづらいと思います。巣立つまでの間、ご不便をおかけしますが温かく見守ってください。

まだまだ暑い日が続きますので、来園される際はみなさんも熱中症にはお気を付けください。


(関根)




2度目の営巣
(2011年6月27日)

  

前回、残念なお知らせをしましたが、その後シロフクロウの夫婦は再び営巣(巣作り)をはじめました。
営巣をやめてしまった5月29日から10日あまり、メスがまた地面でもぞもぞと動いていました。今回いるのは昨年営巣していたのと同じ場所でした。ここは雨除けの屋根の下で大雨が降っても水につかってしまう心配はなさそうです。

そんなメスの様子を部屋の外から観察していると何やらこちらに対する視線を感じました。メスから視線を横に動かすとこちらを見つめるオスの姿がありました。鋭い視線に野生を感じてカメラを向けると、とたんにこちらに威嚇して飛びかかってきました。網越しですがその迫力に思わずのけぞってしまいます。
そんなオスですが、エサをあげると大好物のマウスでも自分は食べずに、まずメスのもとに運んでいきます。とても甲斐甲斐しく世話をする様子をみて、最近耳にする「イクメン」という言葉が頭をよぎりました。

順調にいけば7月中にも新しい命に出会えるかもしれません。


(藤嶋)



今年の営巣結果の報告
(2011年5月30日)

 
 

4月からこの動物園に入り、シロフクロウを担当することになりました関根です。

突然ですが残念なお知らせがあります。
今年も、卵を産み、5月6日からずっと卵をあたためていましたが、5月29日にあたためるのをやめてしまいました。
原因は、数日前から雨が降り続き巣に水が溜まってしまったためです。
雨除けに屋根も設置してありましたが、その下はどうも気に入らなかったようで、多少の雨も気にせず屋根のないところに巣を作りました。
彼らの繁殖するツンドラではあまり雨が降りません。ですから、巣も雨の心配を考えずにつくるのかもしれません。

驚かさないようにそのまま様子を見ていましたが、続く大雨で巣に水が溜まり、親は巣を離れてしまいました。急きょ巣から水をかき出し、巣に水が入らないように周囲に土を入れたりしましたが、巣に戻ることはありませんでした。
最終的に取り上げた卵も、残念ながら発生が止まってしまっていました。


まだまだ勉強中の私ですが、屋根の付け方や、地面の水はけ対策など多くの課題を彼らからもらいました。
この失敗を無駄にしないように、これからもっと勉強していきたいと思います。


(関根)




初めての孵化
(2010年8月16日)

  

7月7日、待ち望んでいた初めてのヒナが誕生しました。
昨年産んだ、初めての卵は全部無精卵だったので、今年こそはと期待していたところ、母親が少しの間離れた巣の中に白いうぶ毛のヒナ1羽確認!
初めは白かったヒナも灰色に変わり、そのうちに羽も伸びはじめ、1ヶ月を過ぎた今では体重も1kgをオーバーし順調に育っています。

巣立ちも近いので、みなさんぜひ見に来てください。
(写真は左から10日齢、20日齢、40日齢)


(新井)




 

初めての産卵
(2009年8月31日)

 
抱卵中の♀(左

来園していただいた方々はご存知かもしれませんが、今年シロフクロウが当園で初めて産卵しました。
園路のすぐそばでの産卵だったため、見られることと直射日光をさえぎるためヨシズで目隠しをしてしまったので、とても見にくい展示になってしまったことをお詫びいたします。

静かに見守ってきた卵ですが残念ながら孵化にはいたりませんでした。
しかし、今までなかった産卵というステップに進んだので、来年はぜひかわいいヒナがみられるようにがんばりたいと思います。

(藤嶋)




暑さ対策
(2008年8月4日)


 

北極圏にすむシロフクロウは暑さがとても苦手。
すぐにハァハァと息が荒くなってしまいます。

この時期は彼らにとってとてもつらい季節です。
そこで、担当者が取り出した秘密兵器がこの大型扇風機!
家にあるものよりずっと大きく強力なものです。

風を送って少しでもすごしやすいように工夫をしています。
暑い日はこの扇風機の前でじっと動かず置物のようになっていますから注目してください。


(藤嶋)




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