クオリティ・オブ・ライフ
QOLを考える小高
2021年4月30日
QOL…人生の内容の質や社会的に見た生活の質の事。ある人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているかを物差しとする考え方。私たちが生きるうえでの満足度を表す指標の1つ。
QOLの向上を考えるのは、たいていその個体の余命が見えてきた時です。どう治療するか?しないか?と。でもそれは老いや病気の治療についてだけではなく、いつもの生活の中でも考えていたいと思います。
飼育下にある動物たちは、野生の状態とは異なる生活をしています。でも、私たちは動物園でくらす動物たちにもなるべくその動物らしい生活ができるよう努めています。QOL向上のポイントは「なにをもって幸せとするか」「なにを大切にするか」です。飼育下の動物たちのこのポイントを正確に知ることはほとんど不可能。けれども、その動物の野生での生態やその個体の来歴を知ることで、できることが少しだけ見えてくることがあります。
自然をそっくり切り取るわけにはいかないので、動物園では展示場内を自然に似せたり、木の枝や巣穴の代わりにロープや巣箱を使ったりします。動物たちに本来の行動をしてもらうためです。動物たちは人工物を使って上手に遊んだりくつろいだりしています。思っている以上に動物たちには応用力も適応力もあります。
動物園の動物たちは自然への入り口としてその生活を私たちに見せてくれます。そこから私たちは色々なことを学んだり楽しんだり癒されたりします。
私たちは「動物本来の姿を見て楽しむこと」が楽しいことを知っていただきたいと、解説文を設置しています。今は、直接動物たちについての解説ができなくなっていますが、動物たちが何をしていても興味持って見ていただけるよう、工夫したいと思います。