サルの観察ポイント
佐々木飼育係
2021年5月31日
大宮公園小動物園では、サルのなかまを5種類飼育しています。
サル舎の並びにはニホンザル・シシオザル・フサオマキザル・ブラウンケナガクモザルが、その反対側にはコモンリスザルがいるため、比べて観察しやすい展示となっています。
一言に「比べて観察する」と言っても、どのようにすれば良いのかピンと来ないかもしれません。
観察ポイントの一例を挙げると、
「身体を比べる;腕や尾の長さは?指の数は?」
「行動を比べる;移動の仕方は?食べ方は?」などがあります。
他にも、私たちヒトと比べるのも面白いと思います。ニホンザルの展示場には公園の遊具がいくつも設置してあるので、遊び方の違いに注目すると、「へー、そんな風に遊ぶんだ!」とか「ヒトの子どもと一緒だね!」なんて気付きが得られるかもしれません。
そして、私が観察していて特に面白いなと感じたことは、シシオザルの朽ち木を使った行動です。彼らは遊びが大好きなので、何か目新しいものを前にすると、すぐに手を出し、掴み、かじり、持ち歩きます。
ある日、柵の外側に落ちていた、長さ50cmくらいの朽ち木を拾ったかと思うと、
クルクルッと角度を器用にかえて、柵の内側に入れました。ひとしきりかじったり、
いじったりした後、朽ち木を展示場の柵と柵の隙間にはめ込みました。
何をするのかと思ったら、はめ込んだ側とは反対の端に立って、
グイグイ体重を掛け始めたのです。
遊びの一環として、朽ち木を折りたいがための行動だと思うのですが、てこの原理を実にうまく使ったなと感心させられました。もちろんシシオザルは学校でてこの原理を習った訳はなく、本能的、あるいは遊びの中で学習して、「ここに力を掛けると折りやすい」ということを知っていたのでしょうね。
みなさんもぜひ色んな視点を持って観察して、たくさんの発見をしていただければと思います。そして、面白い行動が観察できたら、お近くの飼育係に伝えてみてください。次回のブログに向けて参考にします。