敷物いろいろ
小高飼育係
2021年12月15日
今、公園内は落ち葉の季節です。大宮公園は県営の都市公園なので、多くの方が利用しやすいように落ち葉は毎日きれいに清掃されています。その落ち葉を動物園ではいろいろなところで利用しています。利用するのは主にサクラやケヤキです。
ニホンアナグマは休憩するところにたっぷり敷いて布団として利用しています。寝室の寝箱の中にもたっぷりと入っています。野生下でも巣穴の中には落ち葉がしっかり敷いてあるといいます。また、天気の良い日には外に出して干したりもするそうです。ここでは、展示場の落ち葉はほとんど形を崩さず使っていますが、寝室の寝箱の中の落ち葉はすぐに粉々にしてしまいます。しょっちゅう取り換えなくてはならないのが難点です。
ニホンツキノワグマの展示場にも落ち葉はたくさん敷いてあります。ここでは落ち葉はおいしい食べ物の隠し場所です。リンゴやサツマイモのように、大きく良いにおいのするものはすぐに見つけてしまいますが、ドングリとなるとそうはいきません。いっぺんに見つけられないので、思い出したように探し回っている姿を見ることができます。ツキノワグマは木登りが得意で実のなる木に登り、枝を折って実を食べます。食べ終わった枝は自分の体の下に敷いていくので、食べ終わった後には梢にクマ棚と呼ばれる枝の塊ができます。豊作の時は落ちている実だけで満足するので木には登らないようです。
ツルやキジの部屋にも落ち葉が敷いてあります。こちらは防寒用です。寒くなると地面が冷えるので、そこにいる鳥たちも体が冷えてしまいます。それを和らげるために空気の層を作っています。
今年から使い始めたものに「おがくず」があります。市内の木工所からいただいています。おがくずは木材を加工する時に生じる細かい木屑の事です。原材料の7パーセントがおがくずになるそうです。ここではまず、滑る床のために爪が変形してしまったカピバラの寝室に使ってみました。指が握れるくらいおがくずを厚く敷いた寝床で、くつろぐ時間が増えたように思います。細かい木屑が舞うので、電気やヒーターの手入れが大変になりました。ただ今解決法を模索中です。
ハイエナの展示場の水の溜まる一角に敷き詰めたおがくずは、意外や意外とても良いおもちゃになりました。掘って掘って掘って。散らかしt散らかして。2頭とも楽しい時間を過ごしたようです。私たちは新しい掃除アイテムを探さなくてはなりませんが。
おまけ
アカハナグマは南米の熱帯雨林がすみかです。寒いのは苦手。でも、活動的な動物なので電球やコードなどを展示場に入れことは困難です。そこで、陽の当たる所に巣箱を用意したり、太陽光が入るようにアクリル板を使ったり工夫してきました。でも、一番役に立ったのは毛布です。薄くて軽いブランケットを用意しておくと、自分で好きなように敷いて温まっています。箱の外においても、しっかり中に引き込んでくるまっています。なぜこんなことができるのか?いくら生態を想像しても答えは見つかりません。でも、必要な時は自分で判断するので、私たちは用意しておくだけです。いらない時は放ってあるのでしまうだけ。毛布を洗濯する時、周りがアカハナ臭だらけになるのが欠点です。