魅惑の香り?
田村飼育係
2022年5月15日
ブチハイエナの特徴の一つとして強靭な顎の力があります。その顎の力で他の動物が食べられないような硬い骨もバリバリ食べてしまいます。カルシウムなどの有機成分を吸収し消化しきれない一部の角、毛、蹄などは吐き戻します。この吐き戻したものをペリットといいます。
メスのキラが寝室内でそのペリットをちょうど吐き戻しているところだったので何となく見ていたのですが、吐き戻した後、その上で体をこすりつけるようにゴロゴロと寝ころびました。そのような行動を見たのは初めてだったので、そのペリットに毛づくろいした自分の毛も混じっていることがあるためおそらく自分のにおいに反応してゴロゴロしているのかなと、何となく憶測を立ててその時は深く考えませんでした。
後日、展示場にオスのホシをキラと入れ替えで出した時、ホシがいつものように展示場にかけ出ていったかと思えば何かの上でゴロゴロ。
いったい何の上でゴロゴロしているのかと見てみると、午前中に展示場に出ていたキラが吐き戻したペリットがありました。それを見て自分の吐き出したものではないペリットにも体をこすりつけることが分かり、自分のにおいに反応しているという数日前に立てた憶測が違っていることが証明されました。
単純にその匂いが好きでゴロゴロしているのか、他に意味があるのか気になり調べてみると、ハイエナは捕まえた獲物に体をこすりつけて獲物のにおいを香水のように楽しむ遊びをすることがあるそうです。特にマングースのにおいが好きなのだそう。ペリットにこすりつけるのは同じ理由なのか分かりませんでしたが、近い理由で行っているのではないかなと思いました。ホシがキラのペリットにゴロゴロしたのは何か魅力的な匂いがしたのかもしれませんね。ホシも同じものを食べているはずなのですが…。
知っているようでも、動物の行動からふと気付かされることがよくあります。
そんな時に改めて調べたりすると新たに発見があり面白いですし、まだまだ知らないことだらけだなと実感させられます。
もっと勉強せねば。と改めて思い知らされた出来事でした。