大宮公園小動物園

実は深かったノリ

田村飼育係

2022年7月31日

数か月の前の話ですが、バックストリートボーイズを聞くとノリノリに踊るキバタンの動画があると教えてもらい、その動画を見た後すぐに当園にいるアオメキバタンのポポちゃんにバックストリートボーイズを聴かせてみたことがあります。

「ポポちゃんオハヨウ!」「ポポちゃんカワイイネッ!」と、ついさっきまで元気よく楽しそうに話していたポポちゃんがバックストリートボーイズを聞いた瞬間、一瞬にして静かになりました。なんとなくそんな反応になると予想はしていましたが、ここまで固まるとは思いませんでした…。

固まるポポちゃん

ポポちゃんは慎重な性格なので、見慣れないものや聞きなれないものに敏感です。聴き慣れてきたらノリノリになるかなと思い試しに数日間聴かせてみましたが全く変化はなく、あの動画のキバタンが特殊なだけで全てのキバタンがノリノリになるとは限らないかと、いつの間にか聴かせなくなっていました。

そんなこともすっかり忘れて時が経ち、最近なにげなく読んだ鳥類の本にあのノリノリで踊るキバタンの話がほんの少し載っていました。どうやらあのキバタンはスノーボールという名前のようです。キバタンはオウムの仲間で声まねをする鳥ですが、声まねをする鳥としない鳥では脳内の神経回路が異なり、声まねをする鳥の方がリズムに合わせられる可能性が高いのだそう。本にはこれくらいしか載っていませんでしたが、さらに調べてみるとスノーボールは音楽を速めたり遅めたりするのに合わせて踊りを調節でき、人のようにメロディーを追う能力があると実験で証明されています。彼は頭を激しく上下させる動きや、頭を揺すりながら片脚を持ち上げる動き、片脚を宙に上げたまま頭を左右に激しく揺らす動きなど、14種類の動きを使い分けてダンスをしているというので驚きです。

このように音楽を聴いてそのリズムに同調して動く能力があるだけではなく、それを人のように広範囲のテンポでできるのは今のところオウムの仲間とアシカだけなのだそう。(一部のゾウができるという説もあります。)

オウムの仲間がリズムに合わせて踊ることができるのは、人間と共通する5つの特性が関係していると考えられており「音声学習、非言語の動きの真似、長期的な社会的繋がりの形成、複雑な連続性を学ぶ能力、意思疎通のため特定の動きに注意を払う能力」これらの5つの特性が、音楽に突き動かされてダンスを踊る能力に繋がっているといいます。

スノーボールの才能や個性だと片づけていましたが、そうではなくオウムの仲間に共通する能力でした。

オウムによってロックが好きだったり、クラシックが好きだったりそれぞれ好みがあるそうなので、ポポちゃんはバックストリートボーイズが好みではなかっただけなのかもしれませんね。

ポポちゃん

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