掘ることの意味
山本飼育係
2022年9月15日
暑さもだんだんと和らいできましたが、まだ日射しが強い日もありますね。
晴れの日には、日向で寝ていることが多いクビワペッカリーですが、起きている時にはある行動が見られます。
それは、穴を掘ることです。
といっても、クビワペッカリーが穴を掘ることは珍しい行動ではありません。
野性では、地面の茎や根を掘り返して食べることがあるからです。
動物園でも、その習性を活かしてみようと、餌を地面の中や丸太の下に入れてみました。
そうすると、鼻を使って力強く掘りおこし、餌を見つけていました。
飼育環境を野生に近づけることで、本来の行動を引き出してもらう、環境エンリッチメントの取り組みとして行っています。
また、穴掘りに関してこんなことがありました。
ある日、群れの年長者「テン」が、地面を掘っているのを見かけました。
夢中で掘っていたのですが、しばらくするとその場から離れていきました。
その後、それを見ていた「テン」のこどもで二番目に年長の「サン」が同じ場所を掘りはじめました。
それから、群れの中で一番若い「カナ」も興味津々にその様子を見ており、すぐにまねをして、せっせと掘っていました。
その場所にはもう餌はありませんでしたが、こうして穴掘りの習性が伝播して、
親から子へ、いつの間にか身に付いていくのだと思いました。
一体どのくらい掘れるのだろう…。
そんなことも考えながら、クビワペッカリーの掘る姿と、深い穴、
この両方にぜひ注目してください。
実際に見てみるとより多くの発見が得られますよ。