大宮公園小動物園

シラコバトの観察

山本飼育係

2022年11月15日

私達の身近にいる鳥、ハト。とても馴染みのある鳥ではありますが、みなさんは日本に何種類のハトがいるか知っていますか?

日本には主に7種類のハトがいます。多く見られるのはドバト(カワラバト)とキジバトです。主にドバトは都市部、キジバトは郊外でよく見られます。

ドバト(カワラバト)
キジバト

他にも様々な種類がいますが、今回の主役は「シラコバト」です。

シラコバトはユーラシア大陸や北アフリカなど広く分布していますが、日本でも関東の一部の地域で見ることができます。特に埼玉県では「県民の鳥」に指定されており、「コバトン」の名称で、キャラクターにもなっています。大宮公園小動物園では、フライングケージで100羽以上のシラコバトを飼育しています。そんなシラコバトの出来事についてお話しします。

シラコバト

ある日、低い木の上でシラコバトの巣を見つけました。なぜ低い場所を選んだのかはわかりませんが、巣は小枝を集めて皿形になっており、とても上手に作られていました。飼育係は一切手を出しません。シラコバトが全て自分達で作ります。

シラコバトの巣

巣の中をのぞいてみると、卵が2個ありました。その後観察を続けると、親鳥が何度か抱卵しているのを確認しました。ハトはオスとメスが交代で抱卵します。片方が抱卵している間に、もう片方は餌を食べにいきます。

抱卵している様子

観察を始めてから18日後。巣の中を見てみると、2羽、孵化しているのが確認できました。雛の嘴の先には「卵嘴」と呼ばれる白い部分があります。これは孵化するときに、卵殻(たまごのから)を内側からわる時にだけ使うものです。成長過程で自然となくなります。

貴重な瞬間を間近で見れたことはとても嬉しいことです。

順調にいけば、およそ2週間ほどで巣立ちをします。雛達の成長を楽しみにしながら、今後も観察を続けていきます。

シラコバトの雛(嘴の先の白い部分が卵嘴)

シラコバトは国の天然記念物に指定されています。これからも繁殖がうまくいくように、シラコバトが住みやすい環境を作っていけたらいいなと思います。

フライングケージに入った時に、もしシラコバトの巣を見つけたら、驚かさないように静かに遠くから見守ってあげてください。

そして、歩く時は目線を上げてみてください。シラコバトが飛び交う姿、よく観察できると思いますよ。

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