打たれ好き浴び好き
小高飼育係
2022年12月31日
カピバラは水辺に生きる動物で、皮膚と被毛の健康のために水浴びが欠かせません。池に入らなくなる季節にわざわざトロ舟にお湯を用意するのはそれが理由です。このカピバラ展示場に給湯設備が設置されてからどれくらいになるでしょうか?急遽決まった設置。工事、検査と瞬く間に進んでパイプの先端に付ける予定のホース様の何かが決まらないまま試運転に。その時、パイプから出てくるお湯を頭に直接受けたのはコハルでした。使用するたびに付け外しを考えていたので、なくても良いならばとそのままで使うことになりました。
今、展示場で生活しているのはコハルのこどものピース(オス)とラ・メール(メス)です。(コハルは2019年2月13日に死亡)2頭とも以前は直接お湯を体に当てることはしていませんでした。
パイプからお湯が出始めると大きな音がし、周りにしぶきが飛び散るので(見学の皆様ごめんなさい)必ず気が付きます。行動に移すのはどちらが先とは言えませんが、以前に比べ最近はラ・メールの事が多いようです。片方が行動を起こすともう1頭も動きます。
ラ・メールは落ちてくるお湯が体に直接かからないように、トロ舟の隅の方に体を寄せてそっと座ります。一方ピースは、お湯が落ちてくるところなどお構いなしに、いえ意図的に頭からずかずかと入ります。
ピースはコハルがいなくなったその数日後から、突然直接お湯を体で受けるようになりました。それまで一度も見たことが無かったので、できないものだと思っていました。始めてからは当たり前のようにやるようになり、今に至ります。ラ・メールは今も昔もできません。
落ちてくるお湯を頭や顔に直接受けて気持ちよさそうなピースの横にぴったり寄り添うラ・メール。代わってあげればよいのにという声を聞くことがありますが、心配は無用です。ラ・メールはピースに当たって跳ね返るしぶきを浴びることが大好きです。長い時間ピースがお湯に打たれていれば、ラ・メールの顔や背中もかなりしっとりします。もちろん、全身をお湯に浸けることもできますが、しぶきで十分満足することもあるようです。
展示場や東屋では圧倒的に優勢なラ・メールが唯一ピースに全権を委ねるのが、この湯浴みです。