大宮公園小動物園

移り変わる季節に思うこと

小高飼育係

2023年3月15日

 

 立春を過ぎ、「まだ寒いけど暦は春だな」などとのんびり寒さを我慢していたら、あっという間に啓蟄を過ぎ、気が付いたら一気に春が来ていました。

 

地面に立つ

  

 寒さにはめっぽう強く、池に氷が張ったくらいではびくともしないシロフクロウ。かれらは北極周辺のツンドラ地帯に生息し、春から夏にかけての繁殖期には北極圏まで北上します。その後、北アメリカやヨーロッパ、ロシアなどの北の地域に南下して冬を過ごす渡り鳥です。日本にもまれに飛来します。

大宮公園小動物園で飼育しているのはオスのシロフクロウなので、その名前の通り真っ白な羽を持っています。また、足の指まで羽毛に覆われ、短い嘴も顔の羽の中に埋もれています。

 

羽毛に覆われた足の指
顔の羽に埋もれる嘴

           

 フクロウというと夜の闇の中を自由に飛び回っているイメージですが、シロフクロウは主に昼間活動します。北極圏では夏の間陽が沈まないため、昼間に狩りを行うよう進化したと考えられています。主にネズミの仲間を狩り、小さい獲物は丸呑みにし、大きな餌は引き裂いてから飲み込みます。しかし、毛皮や骨は胃で消化できないのでペリット状の塊として吐き出します。このため、普段いる場所の近くにはたくさんのペリットが並びます。

 

吐き出したばかりのペリット
乾燥したペリット

  

 フクロウの眼は光を集めることに優れた大きなレンズを持っています。しかし、レンズが大きいため眼球をほとんど動かせません。そのため、首を270度も回転させることで視野を補っています。

 

右から
斜め右を経て
正面
からの左
からの斜め左
そして後ろ

  

 シロフクロウの存在はかなり昔から知られていましたが、正式に報告されたのは1758年です。最初に見つかったのがヨーロッパの北にあるスカンジナビア半島なので、学名のBubo scandiacusはこれに由来しています。

ここで飼育しているオスの名前はバローといいます。北極海に面するアメリカ・アラスカ州最北端の都市の名前です。2016年に、アラスカ州バロー市は公式名称を先住民イヌピアット(イヌイット)の言葉で「野生の根を集める場所」を意味するウトキアグヴィクに改めました。地名にちなんだ命名だったので、ここのバローも名称変更しようかと考えました。でもバローと名付けられる前、この地は先住民の言葉でウクピアグヴィックと呼ばれており、意味するところは「シロフクロウ狩りの地」だそうです。やっぱり、バローのままのほうが良いようです。

これから気温が上がるにつれて、シロフクロウには過ごしにくい季節になっていきます。口を開けて息をしたり、羽を広げて温度を調節したりします。私たちもできる限りのことをして、健康管理に努めたいと思っています。

笑ってる?

お問合せ先

〒330-0803 
さいたま市大宮区高鼻町4

大宮公園小動物園管理事務所

電話:048-641-6391(大宮公園事務所)

メールでのお問合せ(外部リンク)

お客様のご意見をお聞かせください

このページは気に入っていただけましたか?

ご意見・ご要望がございましたら、下記、「お問い合わせ」からお送りください。なお、回答にお時間をいただく場合がございますので、あらかじめご理解・ご了承願います。

ページの先頭へ