大宮公園小動物園

半年を経て

田村飼育係

2023年3月31日

3月もあっという間に今日で最後。今年度も終わりかぁ、と過去の記事を遡って見ていたらまだ登場していない動物(個体)がいることに気が付きました。

それはミミナガヤギのシロ。

シロ

シロは去年の10月に大宮公園小動物園にやってきました。

やけに耳が長かったり、体の毛が黒いのにシロという名前だったり、見た目もキャラクターも濃いのにまだ記事にしていなかったとは…。

 

家畜のヤギは世界中に200種ほどいますが、その中のミミナガヤギという品種はパキスタンが原産で、オスにもメスにもねじれた角があり長く垂れ下がった耳が特徴です。長い耳は温度調節に役立っていると言われています。

そしてシロという名前の由来は左前肢にちょこっと生えている白い毛。

左前肢だけ白い毛が生えています

由来にしてはさりげなさすぎるので気づいてもらえず「黒いのにシロだって~」とよくツッコまれています。知る人ぞ知る彼のチャームポイントです。

よく見ると毛の色はただの黒ではなく茶色が混じっていて、さらにはウェーブまでかかっていてとてもおしゃれ。個人的に好きなのはおでこのくるんとした白い毛です。

毛はウェーブがかかり、茶色が混じっています
おでこにくるんと生えた白い毛

長い耳と名前のギャップに気を取られがちですが、よく観察してみると魅力的なところがたくさんあります。

 

10月から約半年お世話をしてきて思うシロの印象は、とにかく距離が近い。

何をするにも近い。

常に近いのでこんな写真がよく撮れます

掃除をするときはもちろん、展示場の整備をしている時も、大工をしている時もいつも顔が真横にあります。人懐っこいというのもありますが、とにかく食いしん坊なので餌が出てくるのではないかと常に真横で目を光らせています。

そんな餌には目がないシロですが、来た当初は人見知りならぬヤギ見知りをして馴染むまでが大変でした。大好きな餌があっても他のヤギが近づくとオドオドして逃げ惑うという日々がしばらく続き、この先どうなることやらと心配していましたが、今では逃げ惑うどころか激突しながら一緒に餌を食べていることもあります。シロはとにかく餌に向かう時の距離が近いので時々同居しているモカが困惑していますが、とりあえず慣れてくれたようで一安心しています。

来た当初。必死な顔でモカから逃げるシロ
今は自らモカに近づいていきます

現在他のヤギはモカ一頭だけですが、先日からバックヤードにいたミニブタのダイキチも同居しました。ヤギにはあれほどオドオドしていましたが、ダイキチには無関心だったので問題なく同居できました。ダイキチはオスなので繁殖制限のためミニブタ舎ではなくヤギ舎に放飼しています。

ミミナガヤギとヤギ(雑種)とミニブタ。

餌を食べるシロとモカとおしりを掻くダイキチ

何ともチグハグな展示場ですが、各々したいことをしてマイペースにほのぼのと過ごしている様子は見ていて面白いです。シロの不思議なキャラクターとそれを取り巻くちょっと変わった環境。ツッコミどころが多い分、観察すればするほどいろんな魅力が見えてくると思います。気づいたころには魅了されていること間違いなしです。

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