あるのとないのと何が違うのか?
小髙飼育係
2023年7月15日
旋毛(つむじ)…頭部の毛髪が放散するように渦を巻いている部分のこと。主に頭頂にみられる
旋毛(せんもう)…渦を巻くように生えている毛
さて、不思議の思っているのは旋毛のことです。ある日、展示場の清掃が終了して朝の給餌をしている時、サルたちを上から観察していて急に気になり始めました。"旋毛あるけど" と。シシオザルたちです。ほら。
なんときれいな点。どの個体もです。櫛て梳いたように頭部に毛はきれいに旋毛を中心に生えています。では、同じオナガザル科マカク属のニホンザルはどうなのかと隣の展示場に目を向けると、
ありません。換毛の終わったふわふわで短い毛が一面に生えているだけです。それではと、今度は隣のサル舎を見てみます。こちらは広鼻猿類(中南米に生息するサルの一群)のオマキザル科のフサオマキザル。
ありません。名前の由来のフサフサの毛はありますが旋毛はないようです。そして、クモザル科のブラウンケナガクモザルは、なんと頭頂ではなく首の付け根にしっかりとありました。頭の毛が全部顔の前面に向かって生えていて面白いなとは思っていましたが理由はこれでした。
面白くなったので、他の動物たちも見てみました。テンジクネズミ科のカピバラにはありませんでしたが、同じテンジクネズミ科のテンジクネズミ(モルモット)には、家畜化されているとはいえ、体中にたくさんの旋毛をもった巻毛(アビシニアン)がいました。
ニホンツキノワグマやニホンアナグマにはありませんでした。
少し判りづらいのですが、耳と耳の間の毛がぎっちり渦を巻いているヤギの旋毛。
また、ウマの顔にある旋毛を珠目(しゅもく)と言い、数や位置は一生変わらないのでそのウマの特徴として個体識別に使われています。
基本的には、
・全力で走る時に風を切る部分にある
・雨に濡れたときに、しずくが流れ落ちやすい穂横行に毛流(体表の毛の向き)がならんでいる
と言われているようです。
いろいろ面白いことが分かりましたが、どのような基準で「ある」「ない」が決まっているのかは疑問のままです。「ある」と便利そうですが、ではなぜすべての種が「ある」に進化しなかったのか?知りたいことが多くて時間が足りません。どなたか夏休みの自由研究でチャレンジしてみませんか?
ちなみに。ネコは鼻の付け根の中央部にあるそうです。近くのネコに見せてもらってください。