みさちゃんへの手紙
みさちゃんへの手紙
2024年3月31日
～動物園で出会ったいちばん小さな同志へ～
次にいつ会えるかわからないので、お手紙にしました。
動物園は動物たちを見て楽しむだけではなく、新しいことを知ることのできる場所です。そのために私たちは、動物を健康に飼育するだけではなく、動物たちについて、その体の仕組みや食べ物、すみかの事情などを種別ラベルに書き込んだり、解説ラベルを作ってもっと詳しく説明したりしています。
動物園の素敵なところは、そこに生きている動物たちがいることです。食べたり遊んだり喧嘩したり寝たり、いろんな姿を私たちに見せてくれます。そしてそれは毎日変化しています。みさちゃん、あなたは来るたびに前に来た時と違っているところを見つけて、私たちにたくさんの質問をしてくれました。私たちは動物についてたくさん勉強しています。ですから、何が当たり前で、何が特別なのかが良くわからなくなっています。みさちゃんが尋ねてくれることで、動物園に来てくれている人たちが何を知りたいのかがよくわかりました。（大人はなかなか質問をしてくれません）小さなみさちゃんが理解できるようにお話しするのは、大人の人にお話しするより何倍も難しいことでした。ですから、私たちもたくさん勉強しました。勉強させてくれたこと、本当にどうもありがとう。とても役にたちましたよ。
大きくなったら動物園の飼育係になって、大宮公園小動物園で働きたいって言ってくれたみさちゃん。どの動物についてもたくさんの興味を持ってくれましたね。知りたいって思うことはとても大切なことだと思います。私たちの仕事も、少しでも多くの人に動物たちのことを少しでもたくさん知ってもらうことだと思っています。動物たちを取り巻く環境は決して良い方向に向いているとは思えません。それでも時間は元に戻りません。
この数年間、色々な事があって、動物たちのことを伝える時間がとっても少なくなっていました。ようやくまたスタートできそうなのですが、残念なことに私はもう動物園を卒業します。私が動物たちのことを直接みさちゃんにお話しすることはできなくなります。でも、動物園には動物たちのことを大切に思うスタッフがたくさんいます。これからも変わりなくたくさんのことを学ぶことができます。楽しい動物園であることは変わりません。
心から動物たちを大切に思い、動物たちの味方となる人でありたいと思ってきました。そうゆう人を育てる人になりたいと思ってきました。でも、動物園は人を育てるだけではなく、同じ思いを持つ人を見つける所でもありました。
ちょっとお手紙が長くなりました。お話したいことはまだまだあります。でもそれは、いつか次に会った時にしましょう。
じゃあまたね。みさちゃん。
おおみやこうえんしょうどうぶつえん しいくがかり ようこ
＊ついしん 今度、どこかの動物園で並んで動物たちをみましょうね。
Special thanks to my coworker
