第26回埼玉県都市公園写真コンクール 結果発表
受賞作品
知事賞 『大好き♪』 こども動物自然公園(東松山市) 倉本 寛子
【講評】水槽をのぞき込むふたりのもとに、ペンギンが「こんにちは」と挨拶にやってきた! そんなふうにも見える微笑ましいシーンです。バレンタインのデコレーションをうまく構図に取り込み、ベストアングルからのショットが見事です。水中のアブクや水面のゆらぎも臨場感とともにいいアクセントとなりました。ハートがこんなにたくさんあると、見ている側もウキウキしてきますね。カラフルな色との相乗効果で、とってもLovelyな作品となりました。
理事長賞 『夢の中』 秩父ミューズパーク(秩父市) 橋本 拓郎
【講評】寒い冬ならではの気象条件で、こんなにも幻想的な光景が見られるのですね。霧に包まれた秩父のミューズパーク、このうえなく美しいと思いました。街全体に紗をかけたような中にあって、ハープ橋の輪郭がしっかりと浮かび上がり、ランドマークとしての存在感が圧倒的です。街明かりが美しい色彩に染まって飽きさせません。この霧の下にいくつもの物語があるのだと思うと、見え過ぎないことが、想像を膨らませ、この光景をより一層素敵に感じさせるのだと思いました。
特選 『鯉のぼり』 上尾丸山公園(上尾市) 加藤 沙耶香
【講評】お揃いの帽子にズック、同じような格好をした3人は姉弟でしょうか? コメントからして撮影されたのはお母さんだと思いますが、声をかけることで、こどもたちの顔と鯉のぼり、どちらもしっかりと写しとめることに成功しています。この写真はこれでいいのですが、柵につかまっている姿に胸がキュンとなり、後ろ姿ならどうだったろうと思いました。こどもたちだけの世界観を出せると表現の幅がさらに広がるでしょう。
『紅に映える』 別所沼公園(さいたま市) 関 奈保子
【講評】紅葉の時期になると一段と存在感を放つメタセコイアですが、この別所沼公園の並木は実に壮観で目を奪われました。おそらく実際に並木を歩くよりも、この噴水越しに眺める光景のほうが、秋の色づきを堪能できそうです。水面の映り込みを作画することで、紅葉のパワーも2倍になり、画面全体が紅く染まっています。それに加えて噴水による波紋が、垂直な幹をゆがめていて、画面に柔らかさを与えてくれました。見た目よりも彩度を上げて仕上げてあると思いますが、作者の記憶色として、燃えるような紅葉が再現されたのだと思いました。
特選 『響け、輝け、あなたらしく』 秋ヶ瀬公園(さいたま市) 柴山 恵
【講評】広々とした林の中で奏でるヴァイオリンはどんな音色がするのでしょう? 音が、奏者を取り巻いている木々に反射して、どんな立派なコンサートホールよりも魅惑的な音を響かせている、そうに違いないと確信しました。また、夕日をアクセントに使ってオレンジ色の輪郭を描き出したところにもセンスを感じました。iPhoneを駆使し、アングルを工夫しながら丁寧に切り取られた一枚。フレッシュな17歳の感性に脱帽です。
ユーモア賞 『降ってきた~』 秩父ミューズパーク(秩父市) 平野 博之
【講評】落ち葉のシャワーを満面の笑みで見つめる男の子、なんとも愛おしい写真です。望遠レンズと1/2500秒の高速シャッターの組み合わせで、瞬間の情景を、立体的に、かつスローモーションの一コマのような印象でとらえることができたのは、一瞬を切り取る写真のなせる技だと思いました。シャッター速度の設定ひとつで、落ち葉を止めることも、流すこともできてしまう、写真のならではの表現が冴えています。
ファミリー賞 『スマイル×スマイル×スめぇ~ル☆』 智光山公園(狭山市) 安永 大輔
【講評】自撮りでしょうか、なんとも楽しい3ショット! それにしてもヤギのクララちゃんがとっても協力的ですね〜。自分からフレームの中央に寄ってきているみたいです。しかも笑顔で(笑)! きっと3ショットを撮りたいという気持ちが伝わったのでしょうね。ミラーレス一眼のフットワークが生かされています。
雪の日のアートde賞 『白いキャンバス』 彩の森入間公園(入間市) 川俣 嘉春
【講評】タイトルの感じが写真によく表れていますね。あたり一面、雪に覆われた「彩の森入間公園」の敷地をキャンパスに見立て、木の影と犬を散歩させる人を組み合わせて一枚の絵を描き出しています。雪が積もってからの、晴天の日を選んだことで成立した写真です。また影を取り入れるときは時間帯も大切です。朝夕は長い影を作りだしてくれる好条件の時間帯です。ここでもその長い影が効いています。
アニマル賞 『お花見ペンギン』 こども動物自然公園(東松山市) 中村 結花
【講評】なんと自由にお散歩をしているペンギンでしょう! 一瞬我が目を疑いました。こども動物自然公園では、フンボルトペンギンが普通にお散歩をしているのだとか、いやぁ〜愉快です。確かに後方の標識はペンギンマークですね。おそらく周囲には見物人もいると思いますが、切り取りの巧さで、春の陽気に浮かれたペンギンが花見に出かけているような、物語のある一枚に仕上げています。
U-20賞
【講評】公園内のせせらぎで遊んでいるふたりは、水遊びに夢中のようですね。そんなふたりを邪魔しないよう、少し離れたところから撮影して、ごく自然な様子をとらえたところに好感を持ちました。また水面に近いローアングルからのねらいで、一体感が感じられるのもよかったです。
【講評】滝行のつもりなのでしょうかね、水しぶきの中、じっとしている青年と手前の青年の動きが好対照だと思いました。水飛沫が止まっているのもいいと思います。ここでもシャッター速度の選択は大事ですね。また天候によっても仕上がりが変わる場面ですので、今度は違う日にもチャレンジしてみて下さい。
【講評】コアラといえばいつもじっとしていて、ぬいぐるみそのものという印象ですが、なんと一日のうち20時間近くを眠るか休んで過ごすのだそうですよ。そんなコアラの大あくび! よく生態を観察してとらえたと思いました。コアラをやや下に配置したことで安定感もあります。
【講評】ターザンロープにつかまっている男の子の表情がいいですね。流し撮りの手法を使ったことで、背景が流れて動きを感じる作品になりました。動きの早いものを撮るときは、高速シャッターで動きを止めることが多いのですが、ここでは1/40秒で、人物の動きに合わせてカメラを振り、スピード感を出したのがGoodでした。
入選作品はこちら(PDF 1.9MB)
審査員総評
総評
第26回となる今回は986点の応募がありました。1000点には届かなかったものの、回を重ねるごとに応募総数も着実に増えてきています。また、応募者の年齢も6歳から92歳までで、幅広い年代のみなさんが公園に出かけ、そこで写真撮影を楽しまれているということが伺え、とても嬉しくなりました。スマートフォンの普及も手伝い、誰もが撮りたいと思ったときに画質のいい写真を撮る環境にあることが、このような広がりに繋がっているのだと思いました。今回から「U-20賞」が4点に増え、それに伴い若い人の応募が増えたことも、喜ばしいことです。U-20賞だけでなく、特選に17歳、入選に13歳の方が入っています。 家族で出かけた行楽の写真や、動物とのふれあいなど、その場所に出かけてみたくなる素敵な作品がたくさんありましたが、早朝や夜中、霧のシーンなど、普段あまり目にする機会のない時間帯をとらえ意欲作も多く、感心しました。昼と夜、また天候や季節の違いによって、同じ場所でもまったく違った写真なります。そのことを少し意識すると、定番の場所でもまだまだ人と違った写真を撮るヒントが得られると思います。 素敵な作品なのに撮影場所が埼玉の都市公園ではなかった為に、惜しくも対象外となってしまった作品がいくつもあり、とても残念に思いました。応募されるときは、今一度、場所の確認をしていただきたいと思いました。もちろん場所がどこであれ、いい作品に変わりは無いのですが、このコンクールでは埼玉の都市公園で撮影された作品のみが審査の対象となります。 これからもみなさんが発見した、埼玉の都市公園の魅力溢れる写真がこのページを飾ってくれることを楽しみにしています。
審査員
写真家 榎並悦子 氏
京都・西陣生まれ。「一期一会」の出会いを大切に、人物や自然、風習、高齢化問題など幅広いフィールドをしなやかな視線でとらえ続けている。写真展、写真集に富山の民謡行事「越中おわら風の盆」やパリの街角をモノクロでとらえた「パリの宝石箱」、「明日へ。東日本大震災からの3年—2011-2014—」、「榎並悦子のマルテク式極上フォトレッスン」など多数。アメリカに暮らす小人症の人々を取材した写真集「Little People」で第37回講談社出版文化賞写真賞受賞。www.e-enami.com/
日本写真家協会会員、日本写真著作権協会理事。
第26回埼玉県都市公園写真コンクール 概要
題材
埼玉県内の都市公園の風景、諸行事や公園内で憩う人々など
応募期間
平成28年7月1日(金)〜12月4日(日)
応募点数
986点
応募者数
338名
表彰式
平成29年2月25日(土)所沢航空発祥記念館
主催
主催 (公財)埼玉県公園緑地協会
後援 埼玉県、埼玉県教育委員会、朝日新聞さいたま総局、全日本写真連盟
協賛 一般社団法人埼玉県造園業協会、埼玉県カメラ商組合、株式会社三和広告社、キリンビバレッジバリューベンダー株式会社
お問合せ先
〒330-0803
さいたま市大宮区高鼻町4-130
埼玉県公園緑地協会経営企画部
電話:048-640-1593
FAX:048-640-1592