大宮公園小動物園

アナホリフクロウの新しい試み

佐々木飼育係

2022年5月31日

去年の10月、アナホリフクロウの繁殖に伴い、彼らが巣台の中を掘って巣作りをする面白い生態について、こちらで紹介しました。

去年書いたアナホリフクロウの記事

今年も、引き続き興味深い行動が観察できました。

事の始めは、4月中旬頃展示場に違和感をおぼえました。

「あれ?新しいトンネル?」 

展示場
展示場を上から撮った様子(写真右側が去年繁殖した巣台)
展示場拡大
新しい穴を発見!(左の写真 中央を拡大)
掘ったペア
「ポーニャ」・「ケーナ」ペア

平らだった地面が掘られ、穴ができていました。


オスの「ポーニャ」やメスの「ケーナ」の脚が土で汚れている様子だったので、
掘ったのはこのペアで間違いないでしょう。

日に日に穴は深くなっていったかと思うと、1週間ほどで反対側が開通し、トンネルが完成しました。

トンネルに入っているケーナも確認ができました。

トンネル開通
トンネル開通!(写真右上から左下に向けて掘り進めました)
トンネルに入るケーナ
トンネルに入るケーナ(園路側から撮影)

 

一方、去年繁殖に使われた巣台はノータッチ。
今年の繁殖は巣台じゃないのかな?

と思い始めた矢先の51日、今シーズン初の産卵がありました。

場所は新しく作られたトンネル内です。

 

去年は81日が最初の産卵日だったので、それと比べると3か月早い産卵となりました。 

その後もトンネル内で産み足し、5卵まで確認できたのですが、
途中で卵が割れてしまったり、行方不明になってしまったり(親が食べた可能性有)
結果としては残念ながらふ化には至りませんでした。

新しいトンネルを観察していると、上から土が落ちてきたような痕が見られた日もあったので、
トンネルの作りが万全ではなかったことが繁殖失敗の原因の1つかもしれません。 

また、去年は巣台の土をかなりの量掘り進めて、それから産卵をしていたので、
巣台を巣として使ってもらうためには、土を追加して彼らが巣作りをできるような環境を作る必要があったのかもしれません。 

どのような条件で巣作り行動が始まるのか?
どのような条件で安定した抱卵ができるのか?

まだまだ彼らの生態は分からないことだらけですが、今回の経験を踏まえて次の繁殖に備えていきたいと思います。

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