カピバラ「チェリー」のカピバラ史~後編~
鈴木飼育係
2024年9月30日
今回は、9月20日に掲載したカピバラの同居練習の続きを「後編」としてお話ししようと思います。
前編の記事はこちらから!
カピバラ「チェリー」のカピバラ史~前編~
同居練習2回目は、前回と同様に同居を試みると、
近づいてくるピースに対してチェリーが走って逃げるようになったため、
ピースには枝葉や青草などのおやつを与え、
採食している間にチェリーが展示場を歩き回れるようにしました。
そうすると、恐る恐る池にかかった橋を渡ってみたり、池に入りたそうに入口を探したりしていました。
そうこうしているうちにピースの採食も終わり、また追尾するようになり、
池に2頭で入ったときに、チェリーに覆いかぶさるように馬乗りになってしまったため、
まずはチェリーが落ち着いて自分のペースで展示場に慣れるために、
次の同居からは15分はピースを収容した状態でのチェリー放飼をしました。
何度か同居練習をしていくうちにピースが過剰にチェリーを追尾することも減り、
2頭並んで落ち着いて採食できるようになりました。
またチェリーが池に入るとピースも追って一緒に入るものの、
各々で泳いだりはホテイアオイを食べたりして過ごすようになりました。
そして次は長時間同居するにあたって、まず午前午後に分けて1頭ずつ展示場で過ごす日を設けました。
チェリーは午後の3時間ほどを1頭で過ごしましたが、
池の中の居心地が良かったようで、採食する以外はじっと池に浸かっていました。
夕方収容のために様子を見に行くと東屋で寝て待っていることもありました。
いつものピースのようにのびのびと展示場で過ごす姿が観察でき、飼育係としても嬉しい光景でした。
いよいよ開園日に半日ずつ放飼しようとなったところで、
以前から何度か治療していた右前肢の腫瘤が肥大化し始めてしまったため、
公開前に手術をしようということになりました。
そして、腫瘤の摘出自体は問題なく行われたのですが、
麻酔や覚醒などの作用に高齢であったチェリーの体力は持たず、残念な結果となってしまいました。
展示場で過ごす2頭の姿が見られる目前で起こったことだったので悔しさを感じましたが、
展示場でのんびりと過ごす時間を少しでも作ってあげられたことが、
チェリーにとって良い時間であったと思いたい所存です。
チェリーと同い年のピースは、現在も元気に過ごしています。
寂しくはなりますが、これからも温かく見守っていただけたらと思います。
チェリーのことを愛してくださった皆様、本当にありがとうございました。