埼玉県こども動物自然公園

コサンケイが繁殖しました!!

 乳牛コーナー(西田飼育係♀)

2020年6月5日

 2020年4月22日にコサンケイのヒナが誕生しました。当園でコサンケイが繁殖するのは、2010年以来10年ぶりです。コサンケイはベトナムに生息するキジのなかまです。野生での目撃例もほとんどなく、いま最も絶滅が近いといわれている鳥です。世界各地の動物園が協力して、繁殖に力を入れています。当園では、しばらくオス2羽の飼育でしたが、繁殖再開を目指すため、メス1羽を迎えました。 お見合いをするために隣の部屋にメスが来てからというもの、オスのはりきり具合がスゴイ。いままで声を発することもなく、のんびりとした雰囲気とは打って変わり、やる気に満ちあふれた様子です。こんなにもオスの行動が変わるとは驚きでした。

コサンケイオス
コサンケイオス 威厳を感じます

  1月下旬、検疫を終えたメスは、ペアとなるオスの隣の部屋に移動しました。網越しにお見合い開始です。移動直後のメスは急な環境変化で、ついたての陰に隠れて動かずにじっとしていましたが…隣のオスは違いました。メスの気配を察したのか、急にソワソワ。首を伸ばして隣の様子をうかがっています。
 次の日、メスはだいぶ慣れた様子で、部屋の中を歩き回っていました。オスはというと、自分の存在をメスに猛アピール! 顔の赤い部分(囲眼裸皮)を広げ、白い冠羽を立て、胸を張って歩いていました。残念ながらメスは、オスの存在には気が付いているけど、特に関心を示していないようです。一週間後、オスメスの部屋の扉を開放して、部屋を行き来できるようにしてみました。オスは勇んでメスに近づいていきますが、メスはスルっとかわして行ってしまいました…
 この頃から、朝、エサをもって飼育舎に行くと、オスが声を発しながら胸を張って、見せつけるように私の目の前をゆっくり歩くようになりました。そして、必ず「母衣打ち(ほろうち)」をするのです。「母衣打ち」はキジやヤマドリなどが翼を激しくはばたかせて音を出すことです。繁殖期にオスが縄張り宣言をしたり、メスを誘ったりするときにこの行動をするようです。実は初めて見た行動だったので、なんだかわかりませんでした。よく考えると、私=侵入者に対する縄張り宣言だったんですね。勉強になりました。

見張りをするオス
オスは見張り番です


 オスのこの風格はこれからも続くのかと思っていたら、ある日を境に突然、オスが気配を消すように静かになりました。それは3月下旬、メスが抱卵を始めた日です。
いつものように朝、エサを持って飼育舎に行くと、オスがすっと地面に伏せるようになったのです。いままであんなに存在をアピールしていたのに、今度は気配を消しています。メスに対するアプローチ期間は終わったようです。
 残念ながら私が観察できたのはここまで。4月の異動により、新担当者のSさんにバトンタッチです。
Sさんによると、コサンケイの抱卵期間の23日間、メスはピクリとも動かず(生きているか心配になるほど!)、この間もオスは人が近づくとすっと地面に伏せて気配を消していました。

コサンケイのヒナ
目の周りが少し赤くなってきました

 

 

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