埼玉県こども動物自然公園

新入りフェネックたちのその後

小動物コーナー(長谷川飼育係♀)

2020年6月15日

 暑い日が続くようになり、夏が近づいてきましたね。今年はどのくらい暑くなるのか、暑さに弱い動物もいるので心配です。でも今回は、日本の夏よりももっと暑い場所、砂漠に生息するフェネックについて書きたいと思います。

 昨年7月、ロシアのノボシビルスク動物園から雄2頭雌1頭のフェネックが仲間入りしました。ゆくゆくは繁殖を目指しての導入ということで、繁殖に成功している動物園に視察に行き、繁殖期の飼育方法や放飼場の作りを参考にさせて頂きました。 そこで今までより広い放飼場をフェネック用に作り替えることになりました。地面はどんな素材がいいのか、どんなレイアウトがいいのか、どんな植物がいいのか、考えながら放飼場を作っていきました。
 フェネックは昼夜の寒暖差が激しい、砂漠に生息しているため、地面の中に穴を掘って暮らしています。地面の下の方が寒暖差が少なく、気温が安定しているからです。砂の地面に穴を掘って巣穴で子育てをしてもらいたい、という狙いで、生息地の砂漠の砂に近い珪砂という砂を入れました。
 放飼場に放すと狙い通りたくさん穴を掘ってくれました。はじめまっさらだった放飼場も今では穴だらけ。一番長く掘った穴はお気に入りのようで、特に雨の日や暑い日は穴の中で過ごしていることも多いです。

フェネック
穴を掘るフェネック
巣穴
フェネックの巣穴

 そんな中、今年5月に無事交尾が確認できました。フェネックは発情期が1、2月と言われています。2019年の暮れごろからお見合いを開始しました。網越しにお互い匂いを嗅いだり、喧嘩をすることもなかったので、その後すんなり同じ放飼場に放すことができました。
 放飼場で一緒にすると、雌が雄に興味津々。しきりにお腹を見せたり上に乗ったりかなり積極的な様子でした。でもなかなか発情は見られず、交尾らしい行動もしばらく確認出来ませんでした。発情が来ると雌の生殖器が膨らんだり雄も交尾をしようと上に乗ろうとしたりしますが、雄は匂いを嗅ぐことはあっても、いつも雌から逃げてばかりでした。結局冬は交尾が確認できませんでした。

フェネック
フェネックの交尾

 しかし、5月になってようやく交尾している様子が確認できました。冬には兆しが見られず諦めかけていた分喜びも大きかったです。交尾が近くなると気が立ってけんかしてしまうこともあると聞いていたので、無事に交尾してくれてほっとしました。でもまだまだここから。妊娠すればフェネックにとっても担当者にとっても初めての出産、子育てとなります。母子ともに元気に赤ちゃんを産み、育ててくれることを祈るばかりです。安心して子育てができる環境を整えられるよう頑張りたいと思います。
 そんなわけで現在は、妊娠の可能性があるため少々展示が見えづらくなっています。元気な赤ちゃんが生まれるように静かに見守ってあげてください。応援、ご協力よろしくお願いします!

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