カンガルーも通ります
寺内飼育係
2021年1月15日
園内ではコーナー内で放し飼いになっている動物がいます。私の担当しているカンガルーコーナーもそのひとつ。通路の真ん中を跳ねるオオカンガルーを見て、「え!いる!いいの?」という声もよく聞こえてきます。
ほかにもペンギンヒルズやぴょんぴょん村など、「動物たちのくらすスペースに『ひとが入っていく』展示場」では、コーナー全体が動物の場所。草地やロープを越えて通路へやってきても、変わらずそこも動物がいていいところです。その時々で、動物たちが自分で選んで好きな場所へ移動しています。
そして通路を堂々と横切るカンガルーたちを見て、よくいただく質問はこちら。
「なんでこんなに近くにいても平気なの?」
それはマナーを守って観察してくれている来園者のみなさんのおかげでもあります。
この草地やロープは、みなさんへ「ここから先には入らないで」。そして動物たちへ「ここから先には、お客さんは入ってこないよ」というアピールでもあるんです。たとえ遠くからでも、「あそこからはひとは来ない」と思っていたところに人がいたら、落ち着けなくなってしまいます。みなさんも、自分の家の敷地内に知らない人が入っていたら…、ちょっと離れたところから見つけてもびっくりしますよね。カンガルーも一緒です。
ほかのお約束も守ってご覧いただけているので、カンガルーたちもいつものんびり寝転がれています。
カンガルーたちはその環境でくらしている中で、「ここにはひとはいない」「いるかもしれない」「よくいる」などなど…経験を重ねていきます。もともと神経質な動物なこともあり、不測の事態はとっても苦手。だから飼育作業中も、環境が変わるときには様子を見ながら少しずつ馴らしていきます。
どんな動物も1頭1頭積んできた経験が違います。同じ種類でも「ほかの場所ではこうだった」「飼っているペットはこうだから」はなかなか通用しないことも。その場所ごとのお約束をぜひ確認していただけると嬉しいです。
動物園には、いろんな小さい疑問が転がっていると思います。今回の内容以外でも、「動物園の動物だから」と片付けずに、なんでこうなんだろう?と考えてみると、おもしろい発見があるかもしれませんよ!