クオッカアイランド1周年!
寺内飼育係
2021年6月28日
晴れると早くも夏の日差し…もう7月ですね。
一年前のこの時期、みなさんどう過ごしていましたか?
昨年は閉園期間が明け、6月に開園再開、そして7月からクオッカの公開が始まりました。
そう、まもなくクオッカ展示開始から1年が経ちます。
長くも短くも感じる、いろいろあった1年でした。
さくっと(いかなそうですが)振り返ってみます。
さて、公開開始は7月でしたが、クオッカの来園は3月、そしてその前にクオッカの獣舎と展示場の工事、のための書類の用意など、準備は盛り沢山でした。
どんな動物なのか、何を食べるのか、どのくらいのサイズなのか、どう暮らしているのか…ほとんど何もわからず、動物について調べるところからのスタートです。
といっても日本語での情報はほとんどなく、観光案内に数行ある程度。
現地に視察に行った先輩飼育係からオーストラリアでの様子を聞いて一緒に考えたり、英語の資料を解読したりしながらこんな感じの動物なのかな、とイメージしていきました。
ただコロナの状況などもあり、本当に予定通り来園するのか、準備が整えられるのか、何かとバタバタしていました……
そんなこんなで本当にクオッカがやってきた3月13日。
輸送箱から出てきた4頭は、動画でよく見る「人なつっこい」様子はなく、(動物園生まれですが)見るからに神経質な野生動物でした。
これは大変かもしれない…と同時に、SNS越しではない動物の姿が見せられるといいなあという期待もありました。
徐々にクオッカも人もお互いに馴れ、やっと落ち着いてきた頃、若いメスのお腹に動きが見られるようになりました。その個体は物音や動きに敏感で一番びびり、ということで後につく名前は「ビビ」。赤ちゃんがいそうで嬉しい反面、そんなお母さんが落ち着いて健康に過ごせるようより注意深く見守れるよう心がけました。
少し遅れて年上のメスのリコのお腹も動きだし、先日残念ながら死亡したオスのダイの、2頭のこどもたちが元気に顔を出してくれました。
こどもたちもパインとピオニと命名され、すくすく成長してくれて一安心。
ですが、今度の課題は性成熟。動物の成長の過程でとても大事なことです。クオッカは単独性の動物です。特にオスのパインは性成熟を迎えると父親とはライバルになってしまいます。日に日に果敢にダイにアタックするパイン。ダイもはじめは軽くいなしていましたが、段々激しくなるパインに対応が強くなっていきます。本気の制裁を受けて怪我をする前に、2頭を離さなけなければいけませんでした。
ついに迎えた独り立ちの日、初めて一頭で別室に入ったパインは、こちらの心配をよそに、ずっとここにいたのではと思うほどまったり落ち着いた様子でした。
クオッカの性成熟はおよそ1年。そのうち半年は育児嚢の中。その後の顔出しからだと残りは半年ほどです。
見た目はまだ小さなパインでしたが、こうしてあっという間に一人前になっていくんだろうなあと実感した出来事でした。
そして来園時にはまだ幼かったチャメも徐々に成長し、体重も増えてがっしりしてきました。ダイのように優秀なお父さんになれるようしっかり準備していきたいと思います。
クオッカの公開開始から、うれしいお知らせもそうでないお知らせもありましたが、どちらも無駄にせずに今後に活かしていきます。
これからもクオッカをきっかけに、いきもののこと、野生動物のこと、自然環境のこと、、少しでも前より興味を持っていただけたら嬉しいです。