頼もしいお母さん
二場飼育係
2021年7月27日
6月22日(火)の昼過ぎ、いつも通りコアラ舎で作業しているとお客様から、ナマケモノが出産していましたが大丈夫ですか?と声をかけていただきました。そろそろ、と心の準備はしていたものの、フタユビナマケモノのノンは朝、普段と全く変わらない様子で外の放飼場に出かけて行ったので今日はまだかな、と思っていました。少し驚きながらノンの部屋に向かいました。
ノンは体格が良く、ほとんどの時間お腹を上にして過ごしているので、赤ちゃんがお腹にいるのかどうか、見た目ではなかなかわかりません。今までの妊娠期間から大体の予定日はわかっていましたが、やはり突然でした。
ノンはこれまでも出産していて、2頭のこどもをしっかりと育ててくれたお母さんです。2回とも夜間にうんで、朝私たちが出勤した時には何事も無かったような様子で、お腹に赤ちゃんが乗っていました。今回も夜うむかな、と思っていたのですが、なんとお昼過ぎに来園者の皆さんに見守られながら出産しました。
残念ながら出産は見られませんでしたが、出産後の様子を観察できたのは初めてでした。
ノンは天井からつるしてあるロープに体重を預けて天井にぶら下がったまま出産したそうで、見に行った時は、赤ちゃんをよく舐めてやり、体をきれいにしてあげていました。それから約3時間後に木を伝って床に降り、後産(赤ちゃんとへその緒でつながった胎盤)を食べ始めました。
30分ほどかけて胎盤はすべて食べてしまい、その時に赤ちゃんのへその緒も歯で噛み切っていました。その後は木を登っていき、いつも通り天井にぶら下がって休んでいました。赤ちゃんがおっぱいを吸っている音も確認でき一安心でした。
ノンの妊娠期間は今回341日でした。人間より長い妊娠期間で、赤ちゃんはしっかり育ってからうまれてきます。
うまれた時には、長い前あしと後ろあしに爪があり、お母さんの毛にしっかりとつかまります。お母さんは赤ちゃんを気遣ってはいますが、抱っこしているわけではなく、赤ちゃんが自力でつかまっています。生後6日にはお母さんが寝ている間にお腹の上から届く天井のあみに自力でぶら下がっていました。生後11日にはお母さんが食べている野菜に興味を持ち、小松菜や白菜、サツマイモを口に入れて少しずつ食べているのが確認できました。
ノンは今までと同じように今回も無事出産し、しっかりと赤ちゃんの面倒を見ていて、頼もしいお母さんぶりです。赤ちゃんは日々成長していますがまだまだ小さく、ノンの体勢によっては見えにくいこともありますが、いつも通り展示場にいますので見に来てみてくださいね。