埼玉県こども動物自然公園

大型動物飼育の難しさ

長島飼育係

2022年3月10日

飼育係を始めて4年目、コツメカワウソ、テンジクネズミ(モルモット)、オオカンガルー、コアラ、カピバラなどの飼育を経験してきました。
今年度はポニーコーナーでキリンの飼育担当をしています。今回初めて大型動物の担当になりました。

大型動物の飼育管理では掃除が大変です。例えばテンジクネズミ(モルモット)と比べると、当然飼育スペースの広さが違います。しかし、そんなことは大した問題ではありません。何より大変なことは“飼育係が動物に触れられないだと思っています。

大型動物では基本的に動物と同じ空間に飼育係が入ることはありません。朝、運動場に出すときや、夕方寝室に帰すとき、小さい動物では抱えて移動できるかも知れません。しかし、キリンを押したり、引いたりして連れて行くことは到底できません。自分の意思で動いてもらうしかないのです。そのために朝の運動場では、気にしそうな音や目新しい物は無いようにします。さらに特に好きな美味しいエサを与えることで、出て行きやすいようにしています。また、夕方スムーズに帰ってきてもらうには寝室は絶対に安心できる場所でなければなりません。そのため、キリンが寝室にいるときは特に驚かさないよう、歩く速さすらも気を使っています。

草を食べるキリン2頭
運動場に出たらまずは朝ごはんです

 

キリン同士のケンカが始まってしまったら、飼育係ができることはほとんどありません。小さい動物の場合、片方を捕まえて別の部屋に移せば済みますが、キリンではそうはいきません。新しいキリン同士をあわせるときは、少し離れたところからお互いの存在を認識させる期間、隣の部屋などの柵越しで会わせる期間を経て、最後に一緒にする。というように段階を踏むことがほとんどです。

父親のマルとこどもの対面
父親のマルと柵越しで対面する仔
群れに戻ったこども
出産から1か月後に親仔を群れにもどしました

治療をすることも小型動物と比べると簡単ではありません。そのため常に健康であるように、日々の観察や健康管理もとても重要になります。

今月の8日にオープンした新キリン舎「キリンテラス」には、キリン用のシュートを設置しています。これを使えば今まで以上に治療が行いやすくなります。さらに、蹄の手入れができるほか、床が体重計になっているため、体重測定もできます。これまで以上にこまめな健康管理ができるはずです。
(シュート…健康管理のためにあえて狭くしてある部屋。動物が痛くないように緑の部分がマットになっています。)

今後も、キリンたちが健康で元気よく暮らしていけるように飼育していきたいです。 

新キリン舎のシュート
新キリン舎のシュート(部位ごとに扉を開くことができます)
新キリン舎のシュート2
新キリン舎のシュート(床は体重計になっています)

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