カピバラ・ワラビー広場緑化計画
野口飼育係
2021年12月14日
最近は気温も下がり、園内の落葉樹の葉もほとんど落ち、季節はすっかり冬です。
今年も残すところあと2週間!みなさんやり残したことはないでしょうか?
さて、今回は私が4月から担当しているカピバラ・ワラビー広場、そこの緑化計画についてお話します。
カピバラ・ワラビー広場には、カピバラとベネットアカクビワラビーが暮らしています。今回はベネットアカクビワラビーが日中過ごしている放飼場のお話です。今年の5月にワラビーの放飼場に砂を入れて、土留めを設置するプチリニューアルしました。
- しかし砂を入れ終わったところで、ある問題に気づきました。
砂を入れたことで元々そこに生えていた植物が一度リセットされてしまい、ベネットアカクビワラビーの足元に全く緑のない環境になってしまいました。ベネットアカクビワラビーは本来、オーストラリア東部やタスマニア島の緑豊かな森林や草原地帯に暮らしている動物なので、このままでは野生の環境に反しています。
そこでまず緑を増やすため目を付けたのは、コアラが毎日食べているユーカリです。コアラが食べ終えて残ったユーカリを貰い、ベネットアカクビワラビーの放飼場に立ててみました。するとベネットアカクビワラビー達がユーカリに集まり、食べるだけではなく、ユーカリの後ろに身を隠すといった行動を引き出すことができました。放飼場に緑を増やしながらワラビーの新しい行動を引き出すことができて、この試みは概ね成功しました。
しかしコアラ舎から貰えるユーカリは、コアラの食べ具合やその日の入荷量によってばらつきがあるため、広場の全てをコアラのユーカリで賄うのは難しく、また定期的に古くなったユーカリを新しいユーカリに交換する必要もあります。そのためユーカリを立てる場所を部分的にしてそのほかのスペースは別の方法を考えなければなりませんでした。
そこで次の手です。ユーカリで部分的に緑が作れたので、今度は種を蒔いて自然に草が生えるように、イネ科の植物3種とマメ科の植物1種の計4種を広場内に蒔きました。種は蒔いてから1週間ほどで発芽し、1か月程でしっかりと広場内が緑色になってきました。
と喜んでいたのも束の間、おいしそうに育った青草をベネットアカクビワラビー達が見逃すはずもありませんでした。
青草が伸びてくると、そこからどんどん食べてしまいある程度の長さまでしか育たないという事態に…ベネットアカクビワラビーが自分で餌を探して食べるという行動を引き出すことができ、エンリッチメントにはなりましたが、緑化計画としては失敗に終わりました。
これらの他にも緑化計画は進行中ですが、それはまた次の機会に!
カピバラ・ワラビー広場に緑を増やしたい飼育係と食欲旺盛なベネットアカクビワラビーの戦いは続きます。