デザインの隠し味
藤野職員
2022年5月10日
デザイナーの藤野です。
動物園の世界という、人生に全く関わりのなかった環境での仕事も4月から3年目に突入し、少しずつ慣れてきました。
今回はちょっと珍しく、わたしの仕事について紹介します。
わたしの仕事の一つに、ポスターづくりがあります。
動物園でうまれた赤ちゃんを紹介したり、イベントのご案内をしたり、グッズの宣伝をしたり……誰しも1枚は目にしたことがあるのではないでしょうか?
もちろん、ただ闇雲に自分の好みと直感でつくっているわけではなく、ある程度ルールを設けてつくっています。
例えば、国際マヌルネコの日や世界カワウソの日などの「動物の日」では、メインの動物にちなんだロゴをつくりました。
高貴なイメージのマヌルネコはリッチな紫色を、キリンは体が2色の編み目模様なためロゴも2色に、レッサーパンダは英名で「Red panda」だから赤をメインに配色……など、隠し味を入れることもルールの1つです。
本来ならここまでする必要はなく、ただ必要な情報だけを載せてつくってしまえばいいのですが、内容が多くの人に伝わりやすいか、良いデザインであるかは隠し味次第なので、一番こだわってつくっています。
ここでもう一つ、わたしがつくった隠し味を紹介します。
去年1年間でつくったポスターは30枚ほどありましたが、その中で1枚だけ動物が主役ではないポスターがあります。
それは「新年のご挨拶」のポスター……
このポスターの主役は、いつも動物の世話をしている飼育係です。
このポスターには、「動物を見ている時の飼育係」の写真をとにかくたくさん集めました。
飼育係は動物を見る時、自分の子どもを見るような、嬉しそうな顔で動物に話しかけます。一般人のわたしからしたらその姿は新鮮で、こんな素晴らしい姿をわたしはここで働くまで知らなかったのか……!と衝撃を受けました。
この姿が世に伝わってないのはもったいない!と思い、新年一発目のポスターでアピールすることにしました。
当園では、飼育係が動物の写真を撮ることが多いため、なかなか飼育係が映っている写真がありませんでしたが、1年かけて地道に素材を集めました。おかげで、多くのお客さんに飼育係の魅力が改めて伝わったと思います。
デザインというのは料理に似ています。
シェフが自分の作りたい料理ばっかりしたらお客さんの食べたい物は食べられないし、1品作るにも材料を揃えたり、調味料はどれを使うか、皿の形や盛り付けはどうするかなど、いろいろ計算された上で作ります。そして、シェフの隠し味にわたしたちが気付かないように、デザインの隠し味もほとんどの人には気付かれないものです。
しかし、この隠し味こそデザインの醍醐味であり、やりがいを感じるところでもあります。
今回は動物とは関係の薄い記事となってしまいましたが、動物園で働く人の中にはこういう仕事をしている人もいるよ、ということで紹介をしました。動物園に来たときには動物だけでなく、働いている人たちや展示物などにも注目してみてください!
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