持ち方にも個性あり
大竹飼育係
2022年8月25日
8月ももう終わりということは夏休みも終わりに近づいていますね。夏休みの課題はおわりましたか?ワークシートを活用している様子をよく見かけましたが、自由研究は無事に完成したでしょうか?
さて、今回ご紹介するのは私が毎日の観察で見つけたとあることについてです。現在私はオオカンガルーやクオッカを担当しています。
動物たちに食欲はあるか・異常はないかなどを毎日チェックしているのですが、動物たちがエサを食べている様子を見ていて、ふとした時に前あしに着目してみると面白かったので、そのお話しをします。
(以前担当していたベネットアカクビワラビーとも比べて見てみました)
まず、ここで紹介するオオカンガルー、クオッカ、ベネットアカクビワラビーの前あしには指が5本あり、人の手の形に似ています。
オスとメスでも差がありますが、体が大きいほど前あしも大きく、指や爪の長さも長いです。爪は意外と太く鋭く、体をかいたり地面を掘ったり、オス同士で力比べをする際などに役立っています。そして前あしをよくつかう場面といえば、跳ばずにゆっくり移動するときや、エサを食べるときです。この「エサを持つ行動」に個性があって面白いのです。
乾草1本1本を持ったり、豪快に口に含んだ青草を不要な分だけ引っ張ったりと、とても器用に前あしを使います。
クオッカのように体の大きさが小さいほど、両前あしをつかう割合は多くなるようです。
ワラビーも似ています。オスは少し前あしが大きいからか、主にエサをちぎるときに片方だけ前あしをつかう場合もあります。持ち方を人間で例えてみると手を軽くグーにしたような形ですが、人間のように指をつかって持つというより、長い爪を上手くつかってんはさんでいる感じです。
オオカンガルーほど体が大きいと、ほぼ口だけでエサを食べ、片方の前あししかつかいません。指も長いからか器用に指の間でエサや枝などをはさむこともあります。
しかしよく観察してみると、エサを引き寄せたり押さえたりするとき以外は、しっかりつかんでいるように見えても実際はあまり強い力ではないようです。
というのも、エサを引きちぎるときの勢いで落としたり、他の個体にすぐ取られたり、カピバラに横取りされたり・・・そんなこともしばしばあって、その度にエサを探す様子をよく見かけます。
(横取りは少しひどい気がしますが親子間でもよくあります)
また、暑い時期に前あしが濡れたオオカンガルーなどをみたことはありますか?
これは、前あし全体や先の方をなめたり水で濡らしたりして、気化熱で体温を逃がす行動です。主に夏に観察できることがあります。
オオカンガルーやワラビーはよく後ろあしまで水に浸けていることもあり、暑さ対策も個体や種によって様々です。
ちなみに、今年になり改めて気づいたことですが、クオッカも暑い日に前あしを舐める行動がみられました。
少し長くなりましたが、近くで観察した気持ちにはなれたでしょうか?
前あしを器用につかう動物はまだまだたくさんいます。食べている姿がかわいいで終わりではなくて、もう少しだけ長く観察してなにが違うかなと考えてみると発見があるかもしれません。
カンガルーコーナーなどで自分の近くでエサを食べているときは観察のチャンスですが、見るときは動物たちから距離をとって、さわらないようお願いします。食べているとき知らない人がすごく近くで見てきたら緊張しますよね。動物も一緒です。東園のそれぞれのコーナー内は動物優先になっていますので、入る前にまずは「お約束」の確認を!
動物たちを驚かさないように観察できたら、きっと他にも色々な姿を見せてくれますよ。
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