乳しぼり体験をするために
内野飼育係
2022年12月15日
みなさんは乳しぼり体験をしたことがありますか?
こども動物自然公園の乳牛コーナーでは、乳しぼり体験を1日3回無料開催しています。牧場ではよく見る乳しぼり体験ですが、動物園では珍しい光景ですよね。今回は、乳しぼり体験をするために、動物園ではどんなことをしているか紹介したいと思います。
まず、よく聞かれるのが、展示搾乳場(乳しぼり体験の会場)まで来るのをウシが嫌がることはないのか、ということ。ウシのように、家畜と呼ばれる動物たちは、野生動物と比べると新しい環境に慣れるのが得意です。とは言っても、知らない場所は怖いもので、突然乳しぼり体験にデビューしてもらうことはありません。デビュー前には必ず馴致(慣れさせること)をしていて、ウシの様子を見て大丈夫だと判断してからデビューします。
初めに大切なのが、展示搾乳場が嫌な場所でないことをわかってもらうことです。初日は、展示搾乳場に行ってエサを食べて帰ってくるだけ、それを覚えたら食べ終わった後も展示搾乳場で待つ、そして最後は搾乳もして、問題がなければデビューとなります。
この馴致をすることで、ウシは、ここに来ればエサが食べられる、しぼってもらえる、嫌な場所じゃない、ということを覚えていってくれます。もちろん個体差はあり、すぐに慣れる個体もいれば、そうでない個体もいます。それでもほとんどのウシが1週間程でデビューできてしまうので…ウシの頭の良さと家畜の適応能力の高さを感じますね。
次に乳しぼり体験に合わせた繁殖です。赤ちゃんを産んで、ミルクを出せるようになったウシが乳しぼり体験に出るのですが、乳牛は人間が飲むためにたくさんミルクを出せるよう、改良されたウシです。当園のウシでは、多い時だと1日で30L以上出ます。そんな時に体験に出るとウシにとって負担となり、病気になってしまいます。そのため、乳量が少なくなる産後約5ヵ月を目安に乳しぼり体験に出られるよう、調整して繁殖計画を立てます。また、乳牛は暑さに弱いため夏の出産がないようにしていたり、品種の違いも考慮しています。
そして最後にしぼりやすいおっぱいです。当園のホルスタイン種は、乳頭(手でしぼるところ)が少し長めです。ウシの繁殖は人工授精で行っており、精液を選ぶときにできるだけ乳頭が長めの血筋から選んでいます。それだけでなく、みなさんにたくさんしぼってもらうことで伸びていく、というのもありますが、できるだけ手でしぼりやすいようにしています。
乳しぼり体験をするためにこのようなことをしていますが、みなさんには、乳しぼり体験を通して、そのあたたかみを感じたり、牛乳を飲めることへの感謝の気持ちを持ってもらえたらと思います。そして、いつも活躍してくれているウシたちをもっと身近に感じて、もっと興味を持ってもらえたらとてもうれしいです。
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