餌からわかること
齊藤飼育係
2023年1月17日
2023年を迎え、年末年始のお休みの余韻と闘いながら、お仕事や学校生活が始まりお疲れの方も多いかと思います。こんな時こそ体調管理に気を付けないといけないですね。
さて、私は今年度から動物園の餌の調達をしています。動物たちに新鮮な野菜を提供するために週何回かに分けて野菜の注文をしたり、必要な栄養を固めた固形飼料などを注文しています。そこで今回は餌についてお話をしたいと思います。
動物たちが餌を食べている姿をみることが出来て嬉しいと感じた方も多いかと思います。餌から動物たちの新しい生態を知ることができたという方もいるのではないでしょうか。飼育係にとっても餌の時間は毎日の健康管理で重要なイベントです。
毎日、餌の食べ始めから残し方までを観察することはとても大切なことで、いつも完食しているのに今日は残している。食べる時の動きがおかしい。このようなことから体調が悪いことに気が付くことがあります。フンボルトペンギンでは高病原性鳥インフルエンザ感染予防のためにお客さんがペンギンヒルズに入ることが出来ませんが、健康管理のためアジを与える時、個体ごとにカウンターを使って食べた数を把握しています。
また、群れで暮らす動物では昨日までは穏やかだった餌の時間に、ある日喧嘩をするようになってしまうことがあります。それが、その群れの繁殖時期や妊娠した個体がいる可能性、群れ内の上下関係の変化を知るきっかけになることもあります。私たちとって餌は動物の生態を知ることに加えて、その個体の状態を知ることに繋がっています。
動物たちはそれぞれの生活環境で手に入る食べ物に適応した体になっています。例えば、馬は牧草などを食べる草食動物で、腸内の微生物が植物を分解してできた栄養を吸収しています。さらに、この微生物自体を消化してタンパク質やアミノ酸を得ています。こうして、馬は人や荷物を運べるほどの筋肉をつけることが出来ています。
また、餌に関係した面白い習性を持つ動物もいます。サイチョウは繁殖期になるとメスが巣の中にこもり、産卵と子育てを行います。
その間、メスが栄養不足にならないようにオスが餌を巣に運び続けます。
このような動物たちの特徴は彼らが生き抜くために身についたものです。それを動物園でも生かすことが出来れば健康維持や繁殖につながると考えています。最近は物価高騰に悩まされることも多いですが、餌を通して動物たちの力になる仕事をしていきたいです。
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