フェルト、はじめました。
齋藤飼育係(ecoハウチュー)
2023年6月14日
こんにちは、ecoハウチュー担当の齊藤です。
突然ですが、私には愛してやまないものがあります。それは“フェルト”です。幼い頃からフェルトで動物のマスコットをつくるのが大好きでした。たくさんつくってランドセルにつけたり家族や友達に配ったり、夏休みの自由製作でフェルトの牧場を作ったり…。動物の形に切ってわたを詰めて縫う、という単純で簡単な作業に何時間も費やすことができました。
自分が大きくなるにつれてだんだんと忙しくなりしばらくフェルトに触れる機会はなかったのですが、いま時を経て再熱しています。きっかけはecoハウチューの担当になったことでした。屋内での展示のため、雨風に晒される心配のないここでならフェルトでハンズオン製作ができるのでは、と思ったのです。
アルマジロの看板を皮切りに、各種の魅力をお伝えする看板を少しずつ製作中です。
フェルト製作をしていると気づくことがたくさんあります。動物園の展示物は学びツールのひとつなので、できる限り本物に忠実に作らなければなりません。よって、動物の色や模様やしわ、指の数、目や耳の位置、など細かく観察して使うフェルトと糸の色を選んでいます。その中でここってこんな色の毛が生えてたんだ!とか、ここは個体によって模様が微妙に違うんだ!とか、意外と耳が小さいな、とか、本物はかわいいのにフェルトだとあんまりかわいくならなかった…なぜだろう?目の位置がおかしいのかな?とか、ここの毛の部分はどうやって表現しよう、などなど。試行錯誤と発見の連続です。
なによりフェルトにハサミを入れたり、糸を通しているときにはなんとも言えない安らぎがあるのです。きっと幼い頃から触れてきたものだからですね。
そして昨年末、ついに自分の限界に挑戦することになります。チビフクロモモンガを飼育頭数分作ろう!と思い立ったのです。
チビフクロモモンガはからだこそ小さいですが、その姿や生態は魅力にあふれ、ecoハウチューでも大注目の動物です。おまけに現在国内では当園でしか会えません。しかし展示しているのは暗いecoハウチューよるの世界。そしておそらくみなさんが想像するよりもずっとちいさくてすばしっこいため、ほとんどの方がその姿に気付けずにecoハウチューを後にしてしまうのです。
これはほんとうに残念なことですし、担当としてみなさんに見つけてもらえるようになにかしなければと思いました。
そこで、このくらいの大きさの動物が展示室にこのくらいの数いるよ、みつけてみてね、というものがあったら、展示室のチビフクロモモンガをみつけるきっかけになるかなぁと考えました。
喜ばしいことに、製作している間にチビフクロモモンガたちの繁殖が順調に進み、頭数分作ろうと決めた年末からすでに10頭以上増えてしまいました。数の変動にはなかなか対応できないためぴったり頭数分をつくることはさすがに諦め、それでも30頭ほどのチビフクロモモンガをこしらえました。
できるだけ等身大の大きさにしたり、本物がそうであるように大人になるにつれて色が変わったり、こどもの数も双子がいたりひとりっこがいたり…まわりにあるユーカリも動物園でいつも使っている種類をイメージして切りました。
そのような感じで、マイペースに、でも実はこだわりを詰め込んで完成した新作を、先日設置しました。
誰かにとっての何かのきっかけになれば、と願っています。
ecoハウチューではフェルト看板以外に“もしもしシリーズ”や“ねずみグルーミング体操”があり、さらに今月は”しつもんポスト”も設置予定です。
みなさんが少しでも楽しい気持ちになるような、動物たちの魅力に気づくための手がかりになるような、そんなツールをこれからもたくさんつくっていきたいなと思っています。(なにより私が一番たのしんでいます…。)
みなさんが幼い頃夢中になったものはなんですか?久しぶりに触れてみると日常に素敵な化学反応が起こり新しい発想や面白い展開がうまれるかもしれません。好きなものをいつまでも大事にしていきたいですね。
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