ある日の飼育係
2023年8月8日
ポニーコーナーにはウマ以外にも、キリン・ヤギ・キボシイワハイラックス・カメ・ネズミ・鳥類などを飼育しています。それぞれの動物には担当者がいて、飼育方法などはその担当者を中心に決めています。
ですが、もちろん担当者が毎日いるわけではありません。ゆっくり体を休め、気分転換する休暇はとても大切。体調管理も飼育係の仕事のひとつです。
そのため、担当者が休みの時に飼育をおこなう代番者も決めています。今回は、わたしが代番を担当しているキリンの飼育について紹介していきます。
キリン舎に到着
最初に必ずすることは、動物の健康状態の確認。それから放飼準備です。基本のエサはルーサンと呼ばれる乾草です。時期によっては青草をあげています。エサを付ける場所は数か所用意してあるので、それぞれに付けていきます。ウマの場合は地面に乾草をおけばよいですが、キリンは地面だと食べにくいのは一目瞭然です。高い場所で採食出来るように工夫しています。
キリンテラス
次は屋内展示室の準備です。こちらにはチェーンブロックが設置されています。木の枝を取り付け、ルーサンをカゴに入れて食べやすい高さにあげます。このチェーンブロックは重さ1.5トンまで対応しています。これはエサを吊るすだけでなく、キリンが自力で立ち上がれなくなった時に使用できるようになっています。
いよいよ外へ
キリンの放飼は安全面を考慮し、必ず2人で行います。扉を開けるとすぐ外へでていきます。悪天候の場合は屋内展示のみになります。9:30の開園までに外へ出さなければならないので、朝の準備は時間との勝負です。
寝室の掃除
キリンは決まった場所に排泄する動物ではありません。フンはだいたい蹴散らされているので、床材の中からフンだけをとるのは地味に大変です。大学との共同研究の調査で採取することもあります。掃除が終了したらエサを付けて、いつでも収容できる状態に寝室を準備しておきます。
木を切りに森へ
ノコギリを持って枝探しに行きます。園内にはたくさんの植物があり、キリンはカシやトウネズミモチなどよく食べています。放飼場につけると、すぐ食べにやってきます。もちろん、キリンにも好みがあります。勢いよくきて、匂いを嗅いで一口食べて吐き出してその場を去るなんてことも。一瞬で食べきってもらえると、とってきた甲斐があります。
(この仕事を始めてから、私生活のなかでも「あの葉っぱ美味しそうだな~。」と思うことも。職業病でしょうか…)
かえる時間
夕方になって、寝室に戻る時間が近付いてきました。キリン達もわかっているようでこの時間になると獣舎のほうに集まっています。寝室は4つに分かれていて、個体ごとに決まっています。無事に全頭収容できたら、放飼場を掃除します。
さいごに
天気や温度、今日あった出来事や、気になったことなどを日誌に記録しています。
担当者と情報を共有するうえでも大切です。最後に電気や施錠、動物の様子を確認して一日が終了です。
今回、紹介した内容は、ほんの一部です。もちろん担当者と代番者でもやることは違います。
この記事を作成している期間中に、高校生が職場体験にきていました。実際に体験してみて「飼育係の方は、こんなに色々なことをしているんですね。」と話してくれました。エサをあげたり、掃除をしているイメージが強かったのかもしれません。ラベル作成やものづくり、イベント準備や調査など、やることは毎日変わってきます。
今回はキリンの飼育をメインに紹介しました。次回は、また違う飼育係のお仕事を紹介できたらなと思います。
田村飼育係より
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こども動物自然公園管理事務所
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