ほしぞらと動物
2023年8月20日
突然ですが、みなさんは、動物たちが私たちとおなじような星空を見ていると思いますか?
今回は、動物と星空、天体の関係についてお話します。
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まず、動物たちが皆、同じ夜空を見ているかという質問のこたえは「いいえ」です。
たとえば、犬や猫の目は焦点を合わせることや色を識別することが苦手です。そのため、夜空に光る星は見えていない可能性が高いのです。ほかの哺乳類も、はっきりと星を見ることができる種は少ないと考えられています。
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これを詳しく説明するために、目の構造について少し説明します。
ヒトの目には、網膜の中心に「中心窩」という部分があります。これは色や細かいものを識別するために必要な構造です。この中心窩をもつ生物は少なくとも星が見えている可能性があります。ヒトのほかに中心窩をもつ動物の一種に、鳥類が挙げられます。
鳥類は優れた視力の目をもち、また、我々人間よりもっとたくさんの色が見えている事がわかっています。もしかすると星空も、私たちよりもっとカラフルに見えているかもしれません。
次に、星座と渡り鳥の関係についてお話します。
渡り鳥は、捕食者となる猛禽類が活動する時間をさけて、夜間に長距離を移動する種類も多くいます。
プラネタリウムを使ったこんな実験があります。まず、春の星座を映し出したプラネタリウムに、春の渡りをする鳥を放すと、渡りをする方角への活動が活発になります。次に、星空を180°回転させます。すると、活動の方向も180°変わったのです。この実験から、渡り鳥は夜間の移動の際、星座を目印にしている可能性があることがわかりました。
鳥が渡りをする際の方角を知るすべとして、以前通った地形をよく覚えていること、地磁気を感知して、あたかも方位磁石を持っているが如く方角を感知することなども挙げられます。話が横道に逸れましたが、我々人間では到底及ばない特殊能力を持っていることに驚かされますよね。
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次に、月に関するお話です。
月の満ち欠けが、多くの動物の行動に影響を及ぼしているのを知っていますか?
海の満潮・干潮は月の引力によって引き起こされています。このリズムは海の生物にも影響をもたらします。たとえばサンゴは満月と新月の日に一斉産卵します。
ウミガメは満月の夜に産卵のため陸地に上がります。大潮のタイミングであれば陸地の産卵場所まで母ガメの移動は最小限で済み、産卵後は潮が引くので、産み落とされた卵は潮をかぶらずに済みます。そしてその2か月後、ふたたび満月の夜に孵化した子ガメが海を目指します(諸説あり。満月とウミガメの産卵に関連性はないとする説もあります)。
これらの月の満ち欠けの周期と生物の行動が一致していることについて、詳しい仕組みは明らかになっていませんが、何らかのかたちで生物は月の引力を感知しているようです。私たちから遠く離れた月の存在が太古の昔から生物に影響を与えてきたと思うと、月を見る目が変わりませんか?
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さて、いかがだったでしょうか。
埼玉県こども動物自然公園では、初開催となる星空観察イベント「ほしぞら観察隊」を開催予定です。応募はすでに締め切っていますが、ご好評をいただければ第2回の開催があるかもしれません。
動物と天体の関係について知ったうえで、新たな目線で星空を観察してみるのはいかがでしょうか?
宮澤獣医より
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