マヌルネコ「タビー」の換毛
2023年9月6日
今年からマヌルネコやヤブイヌなど食肉目の担当となりました内山です。昨年はecoハウチューにいる個性豊かなネズミ達の担当でしたが、草食や雑食であるネズミ達とは打って変わり、肉食メインの動物を相手にしています。ネズミとはまた違った刺激があり、高齢個体が多いこの担当は日々学ぶことばかりで、心配になって様子を何度も見に行くなんてことも少なくありません。さて、その中でも最も高齢動物であるマヌルネコ「タビー」の換毛について短いながら皆様にお伝えしようと思います。
まず始めにタビーって?と知らない方もいらっしゃるかと思いますので、字なんかよりも写真をどーんとご覧ください。
こちらが国内最高齢のマヌルネコであるタビーです。マヌルネコの平均寿命が10歳くらいなのですが、タビーはその上をいき、今年でなんと15歳を無事に迎えることができました。日々国内最高齢を更新中のタビーは穏やかな日々をバックヤードにて過ごしています。
そんなタビー。今年の暑い夏を乗り越えるためにふわふわの冬毛からさっぱりした夏毛に大変身したんです!!と、ご紹介したいところなのですが、なかなかそう簡単にはいきません。
私たち人間が年を取れば目が悪くなったり足がうまく動かなくなったりするように動物も高齢になるにつれて今までできた動きや機能が制限されていきます。タビーも同様に、ステップ台がうまく上り下りできなくなったり、身体がよたよたしたり、耳が遠くなったりとお年寄りなりの変化が表れるようになりました。老化による代謝や自律神経、身体機能が低下してくるとそういった変化とともに換毛も上手くはいかなくなっていきます。暖かくなったころ、タビーの毛は全体的に生え変わらずに部分的に抜けたり、塊になってぶらぶらぶら下がったり。そんな毛の抜け方をしていて、見ていてブラッシングをしたくなるくらいでした。
「じゃあブラッシングすればいいじゃない。」そう思われた方がいらっしゃるかもしれません。ですが、タビーは高齢であり野生動物です。ブラッシングをするためにタビーを捕まえるというのはかなりの負担をかけてしまうことになります。
そこで、間接的な工夫をしてタビーの換毛を手助けしてあげようと、以前の担当者が人工芝を巻いた置物、猫用アーチブラシ、巣箱の出入口に人工芝を設置するといった毛を取るための工夫などをしてくれました。
そのおかげもあり、6月前から徐々に毛が抜けていき、少しずつですがすっきりとした見た目になっていきました。比較するとスラッとしたのが分かるかと思いますが、これでもまだモフモフです。
順調にゆっくりと換毛する中、まさかの事態です。背中の後ろ側に超巨大な抜け毛の塊を発見!側面や上部の毛はきれいになってきたのに擦り付けづらい場所に抜け毛達がめくれてぶらぶらとぶらさがっています。
あまりに大きな塊で歩く際やジャンプする際に邪魔になっていないかと不安になり、私は思い切って高さがあった猫用アーチブラシを低くしてみようと思い立ちました。えい、と曲げてタビーが擦り付けやすい高さにまで低くし、いざ設置です。
タビーの様子を見ながら場所を変えたりして数日が経った頃、巨大な抜け毛の塊がはがれて床に落ちていました!
毛の塊を無事取ることに成功し、一安心です。
タビーは餌も完食して、涼しい部屋でステップ台をゆっくり上り下りし、元気に過ごしています。これからもタビーを観察しながら色々なお手伝いをし、快適に過ごせるよう工夫していきたいと思います。
まだまだ暑い日々が続きますが、今後もマヌルネコのタビーに温かな応援を宜しくお願い致します!
内山飼育係より
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