埼玉県こども動物自然公園

ポニーの特別な講習会

2024年6月25日

 皆さんこんにちは!今年ポニーコーナーでニ年目を迎えました、齋藤です。毎日ポニー達と楽しい日々を過ごしております。前回はウマのコミュニケーションの取り方についてお話しさせていただきました。今回は、一年間、ポニー達と過ごしてきたからこそできる『トレーニング』についてのお話しです。

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とある休園日。他のコーナーの方も交えてポニーの講習会を行いました。北海道のD-baseでウマの指導をされている中村三保子さんに、実践形式でホースマンシップを教えていただきました。今回お呼びした理由は、ポニーとの関係性をより深め、安全に乗馬を行うためです。ホースマンシップとは、人がウマのしている事をまね、ウマから尊敬と信頼を得て群れのリーダーになる事を目的としたトレーニングです。信頼関係を築くためには、ウマの生態や本来のコミュニケーションの取り方を学び、それを人が実践しなければなりません。

人がウマのリーダーになるとはどのような意味だと思いますか?

ウマは群れで行動する動物です。群れの中には必ずリーダーが存在します。ウマ達にとってのリーダーとは、細かな気配りができそばに居ると安心する、群れを正しく導き、二十四時間休む事なくリーダーであり続けることができる存在の事です。これを人が行うという事になります。私もリーダーになることを目指して日々ウマと関わっているということですね。

①今回使ったホルダー 普段のムクチより指示が伝わりやすい

②グラウンドワーク

前置きが長くなりましたが、ここからは講習会の実践内容です。写真②は、ウマに向き合って意思疎通を図るものであり、『グラウンドワーク』と呼ばれます。ウマとの信頼関係を作る基礎のようなものです。今回は道産子-ユキオと月雨が登場です。まず始めに行うことは、ユキオに『私がいるよ』と意識してもらう事です。普通に考えると、ウマの視界に入れば人を意識してくれるのではと思うかもしれませんが、実際に行ってみるととても難しいです。関係性ができていないとウマは私たち人を見てもくれません。最初はユキオも中村さんの事を見ていませんでしたが、指示を送る事、今は指示を送っていない事などを理解すると、徐々に中村さんを意識し始めます。そして、最終的にはユキオは止まって指示を待つようになりました。

③使う道具の紹介(ここでは引き手とスティック)

④触る

次に行う事は、使う道具に慣れてもらう事です。私は、ウマの運動時に鞭を使いますが、主にプレッシャーをかける道具であり、その使う道具を慣らすという発想がありませんでした。この場合、鞭を持つだけで走るという動きが結びつき、人が指示を出す前にウマが動いてしまう事もあります。これは、良くない兆候です。鞭は手の延長であり、人が指示をしなければただの道具であると理解してもらいます。写真③のように、近くで鞭を回したり、鞭で触ったりしてみます。人からの指示がなければ、

鞭も意味を持たないものと認識します。そうすることで普段の生活から驚く事が少なくなり、注意が散漫になる事も防げるそうです。

その後は、ポニーを動かしていきます。ポニーの性格によって使い分け(止まって慣らす、動きを入れる、を交互に挟み)進めていきます。ユキオはよく考え判断していたため動きを多めに入れ、一方で月雨の場合は、プレッシャーを感じやすいため、止まって慣らす動きを多めに行なっていました。これらの動きの応用が調馬索です。中村さんのお話を聞いて、調馬索はウマとの関係性を深めるための方法だと改めて強く感じました。この『グラウンドワーク』を行うことで、人がウマのリーダーとなる事を目指すのです。

⑤月雨

⑥ユキオ

ここでプレッシャーとの関連ですが、ウマと接する時、人は常に気持ちをゼロの状態にしておかなければなりません。このゼロという意味は感情の起伏を一定に保つ事です。ウマは毎日安心して、のんびり過ごす事を好みます。そばにいる私たちはプレッシャーを与えるのではなく、一緒にいてリラックスできる環境を作る事がとても大切です。こういったことも関係性を築く上で意識していきたい事ですね。

最後に、中村さんから乗馬の際に必要な事を教えていただきました。それは、ウマに『全ての責任は私が持つよ』と伝える事だと中村さんは言います。どういう意味かと言うと、『私がいれば大丈夫だよ』と安心させる事です。乗馬している際には、どんな環境の変化があるか分かりません。それに対処しようとしてウマは色々な事を常に考えてしまいます。その考え事を私たち人間が持つ事で常にリラックスした状態で乗馬をする事ができるのです。それには、これまでお話ししたように、常にウマの事を把握し、お互いの信頼関係を深めていく必要があります。

今回、中村さんから教わったことは、とても難しい内容であり、私が実践していくためにはまだまだ勉強が必要です。今まで自分がウマのリーダーとなるために関わり方を工夫してきましたが、今後もたくさん改善できるところがありそうです。これからも、ポニー達との信頼関係をより深めていけるよう、そして『私といれば安心』と思ってもらえるように、一緒に取り組んでいきたいと思います。

 

⑦乗馬練習頑張ります!

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