どうぶつの爪・爪・爪
2024年11月24日
最近、小学生の子どもたちから「動物園の動物たちは爪切りをしているの?」という素朴な質問をいただきました。
答えは…一部イエス、一部ノーです。
野生動物たちは我々のように爪切りを持っていません。靴や靴下も履きません。ですから、素足で木や岩を登ったり、地面を走ったりしているうちに自然と爪が削れてちょうどいい長さになるのです。ネコ科の動物は木の幹などで爪を研いでお手入れします(なわばり主張の目的もあります)。動物園でも、うまく爪が削れるように床材を工夫したり木の枝を入れたりと様々な工夫をしています。しかしそれでも、野生動物ほどの運動量の確保はなかなか難しいです。また、年を取ってさらに運動量が減ったり、うまく自分で爪のお手入れができなかったりすることがあります。その場合は飼育係や獣医が、動物たちがけがをしないように爪切りをします。
今回は一緒に動物の爪事情をみていきましょう!
①キボシイワハイラックス
ハイラックスはイワダヌキ目ハイラックス科に分類されます。昔はネズミのなかま(げっ歯目)といわれていましたが、研究がすすむにつれてゾウやジュゴンとおなじ「近蹄類」に分類されるようになりました。理由は足にご注目。爪の生え方がゾウに似ているのです。太古の昔はハイラックスよりずっと大きな種類のイワダヌキ目も存在していたと考えられているようですが、生存競争に勝てず、岩場でくらす小さなハイラックスが生き延びたそうです。
②ワオキツネザル
ワオキツネザルはサルといっても我々人間とはずいぶん違った見た目をしていますね。でも、やっぱり同じ霊長類ということで共通点があります。それは…爪。犬や猫などの爪は先がとがっていてすこし弧を描くかたちの「かぎづめ」。馬や牛は大きな体をささえ、地面をけって走れる丈夫な「ひづめ」。霊長類はひらべったいかたちの「ひらづめ」をもっています。群れをつくり社会性をもつサルたちは、コミュニケーションとしてお互いの体についた細かいごみや虫をとってあげる行動をします。細かい指の動きをするときに平爪の構造はちょうど邪魔にもならず使い勝手が良いのでしょう。
③牛・馬
牛や馬の蹄は、第二の心臓とも呼ばれています。なぜだと思いますか?
実は蹄にはたくさんの血管があつまっており、牛や馬が歩いたり走ったりすると、その血管がポンプのように血液を送り出し、肢から遠く離れた心臓へと血液が流れていきます。血液がからだの中をめぐる手助けをしているのですね。家畜である牛や馬は野生動物ではありませんから、蹄がのびたら定期的に削ってととのえる必要があります。牛や馬の蹄をととのえる専門家を「削蹄師」といいます。いわば第二の心臓のメンテナンス作業。当園の牛たち、ポニーたちも定期的に蹄をととのえてもらっています。
動物園へお越しの際はぜひ動物たちの爪にも注目してみてくださいね!
宮澤獣医より
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