ハダカじゃないデバネズミがやってきた
2024年12月8日
2024年も残りわずか!今年もいろんな出来事や出会いがありましたね。今回は先日発表した埼玉県こども動物自然公園のニューフェイス「ダマラランドデバネズミ」についてお話します。
まず、デバネズミと言えば知名度が高いハダカデバネズミ。埼玉県こども動物自然公園では1998年に日本で初めて飼育を開始しました。
ハダカデバネズミの最初の担当は現・田中園長でした。当時からダマラランドデバネズミのことは知っていて、ぜひハダカデバネズミとの比較展示を実現したいと考えていたそうです。時は巡り、熊本大学が研究のためダマラランドデバネズミを飼育していると知った園長。ぜひ当園へ!とアプローチしたのが導入のきっかけです。熊本大学の皆様のご協力のおかげで、26年の時を経て比較展示が実現しました。
飼育準備に一番大変だったのは湿温度管理。ハダカデバネズミは哺乳類ですが、体温調節ができない変温動物であり、室内は28~30℃で維持されている一方、ダマラランドデバネズミは毛がある恒温性の動物で、適温は25~26℃程度。ハダカデバネズミと同じ部屋で飼育する予定でしたが、このままでは暑すぎます。そこで、少々手荒ですがハダカデバネズミの部屋の中に、さらに小さな温室を作ることで2種が同じ空間で過ごせるように整備しました。
温室の温度や湿度の調整が上手くいかず試行錯誤していた期間、あたたかい室内とは裏腹に私の肝は冷えるばかりでした。結果、作業はしづらくなってしまいましたが、何とか目標の湿温度が維持できるようになりました。
いまは来園した4頭(2ペア)も活発に、時にすやすやと休みながら元気に過ごしています。
そして12月10日からはついにecoハウチュー夜ゾーンで公開開始!
まず注目して頂きたいのはやはりその外見。同じデバネズミ科であるハダカデバネズミとダマラランドデバネズミですが、ダマラランドデバネズミはハダカデバネズミより倍以上大きいです。
トンネルの中、バックステップでせっせとチップを運ぶ様子は共通していますが、体が大きい分かなり迫力があります。
そして体毛。茶褐色の体毛に、頭にはちょこんと白いパッチがあるのです。1頭1頭違うので個体識別が容易で助かります。
(ちなみにSNSで「ハダカじゃないデバネズミ」と言われているのを目にしてクスッとしていました。実は飼育係サイドも同じことを言っていたのです)
観察していると、違う特徴、同じ特徴がたくさん見えて楽しいので、ぜひハダカデバネズミとダマラランドデバネズミの展示をいったりきたりして見比べてみてください。
最後に、ハダカデバネズミとダマラランドデバネズミは真社会性と呼ばれる動物で、繁殖する女王・王、巣穴を守る兵隊、エサを運んだり巣穴を広げたりするワーカーといった役割を分業してします。
真社会性の代表的な生き物といえばアリやハチですが、哺乳類ではハダカデバネズミとダマラランドデバネズミの2種だけです。
今後の展望としては、繁殖が上手くいって群れが大きくなることで、真社会性動物であるダマラランドデバネズミたちの暮らしぶりをご覧いただけるようにしたいなと思います。ぜひあたたかく、そ~っと、ガラスは叩かずに、のんびり応援して頂けると嬉しいです。
しげ飼育係より
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東松山市岩殿554
こども動物自然公園管理事務所
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