動物園のトウキョウサンショウウオ
2024年12月17日
寒くなってきて、いよいよ冬本番という感じですね。この季節になると個人的に気になることがあります。それがタイトルにもある“サンショウウオ”です!
実は埼玉県こども動物自然公園には野生のサンショウウオが生息しています!
この話をするとよく驚かれますが、それはみなさんがサンショウウオと聞いてまず思い浮かべるのがオオサンショウウオだからではないでしょうか。オオサンショウウオは成体(おとな)になると1mを超える種類ですが、園内に生息しているのはトウキョウサンショウウオという別の種類で、成体になっても10㎝くらいの小型のサンショウウオです。
トウキョウサンショウウオは埼玉県の他、東京都、神奈川県、千葉県、茨城県、栃木県に生息しています。そして埼玉県こども動物自然公園は県内でも有数の個体数の多い生息地になっています。
動物園では園内のトウキョウサンショウウオの生息数調査を行っています。と言ってもサンショウウオは普段、森の中の落ち葉の下などで暮らしており、見つけるのが非常に難しく、普通に探していては生息数を知ることはできません。そこで卵のう(複数の卵が入った袋状のもの)の数を数える方法で生息数を調べています。トウキョウサンショウウオは水中で産卵するため、産卵の時期に水場を捜索して卵のうの数を数えます。
1頭のメスが1対(2個)の卵のうを産卵します。つまり卵のうが2個あるとそこに1頭のメスが産卵に来たことになります。このことから卵のう数を2で割るとそこに生息しているメスの数が分かります。そしてオスとメスの比率は1:1なので、メスの数を2倍すると地域の成体の生息数を推測することができるというわけです。
園内のトウキョウサンショウウオの産卵の時期は1月末から4月初めです。調査は毎年、産卵がピークになる3月末に行っています。
データが残っている2012年以来、園内のトウキョウサンショウウオの生息数は少しずつ増加していました。しかし、2024年3月の調査で過去最低の卵のう数となってしまいました。この年は関東中で卵のう数の減少が見られ、原因はここ数年の夏の暑さにあると推測されています。今シーズンは少しでも数が回復していると良いのですが...
3月の調査が楽しみなような、ちょっぴり不安なような今日この頃です。
長島飼育係より
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