これはどうやって見分けるの?
2025年5月10日
埼玉県こども動物自然公園では、150種の動物を飼育しています。1つの展示場に群れで暮らす動物もいるため個体数も様々。日々の飼育管理の中、動物に異変がある場合は、それがどの個体なのか見極めが必要です。ではたくさんいる群れの中から、どうやって個体を見分けているのでしょうか?今回は、私が働き始めて習得した方法をいくつかご紹介します。
まずは、初級編。キボシイワハイラックスです。この群れでは父と母を担う群れの中心的な存在。この2頭を比較すると、耳の形・門歯と顔の成り立ちが異なりますね。私はシンプルに顔の形で判断しています。

続けて中級編。この2頭はどうでしょう?どちらもメスなので体つきは似ています。正直なところ顔の形ではあまり判断がつきません。目の上の白模様が太いか細いかで見分けています。

そして上級編。去年生まれたこどもたちです。大きさに多少違いはありますが、成長過程なので見分けるポイントにはなりません。そこで、常に隠れている場所で判断することにしました。やはり、野生動物でも個々に性格の違いがあります。ピッタリ挟まるのを好む個体、母の近くにいる個体、そして、大きな空間(擬岩の中)にいる個体。このように、隠れる場所で見分けています。

今ご紹介したのは、健康管理をする時に目視で動物の様子を見定める方法で、毎日給餌・掃除の時に行っています。また、動物園では1頭1頭にマイクロチップをつけている動物もいるため、治療が必要な場合には、確実に個体を識別することが可能です。
ここで余談ですが、マイクロチップを入れていない動物では、どのように見分けているのでしょうか?例えば、爬虫類の仲間、カメはというと甲羅の形です。甲羅の表面と裏面を写真で撮り、合致する模様の組み合わせで見分けています。他にも定期的に体重を測っているため、たくさんいても個体の管理ができるというわけです。

最後に、動物の体以外でも見分けることがあります。写真は、ポニーの糞です。現在ポニーは10頭いますが、糞の形もよく見ると違いがあります。今日この個体の糞を確認したいなと思った時、大きな放飼場(放牧しているため)では見分ける力が必要です。私は毎日観察していたところ、形やしている場所などから、おおよそポニー10頭の糞を見分けられるようになりました。


このように色々な方法で、動物たちの個体識別をしています。展示場の外からじっと眺めていると何か新しい発見があるかもしれません。見つけた時はとてもワクワクします。
ぜひ、みなさんも観察してみてくださいね。あなただけの見分けかたが発見できるかも…。
齋藤飼育係より
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