飼育係のオーストラリア旅行記part2
2023年11月11日
さて今回はロットネスト島でのお話です。(旅行記part1はこちらから)
ロットネスト島に到着し5分ほど港周りを探索するとさっそく見つけました。当園でもお馴染みの動物、「クオッカ」です。
最初に見つけたクオッカは5頭がかたまって木陰で休んでいました。
ロットネスト島はフェリー発着場のある港から歩いて1~2分ほどの場所にレストランやスーパーといった商業施設が並ぶ通りがあり、この通りの周辺にもクオッカが多く生息していました。
ロットネスト島に生息するクオッカはテリトリー(なわばり)を持ち、その中で行動することが多いため、その周辺にはこのような看板が立ててありました。
クオッカに餌をあげないでください、触らないでください、寝ているので邪魔しないでくださいと書いてある看板です。
また島の全域にもクオッカについての看板が設置されていました。
これはイラスト付きの餌をあげたり、触ったりしないでくださいと書いてある看板、クオッカを保護するためのガイドラインが書いてある看板、そして私がロットネスト島を訪れた9月はちょうどクオッカのこどもがお腹の袋(育児嚢)から顔を出したり、出袋して行動を始める時期なので、クオッカのこどもについての注意書き看板も設置されていました。
動物園でもご紹介しているように、野生のクオッカは草や木の葉、実などを食べて暮らしています。実際にどのような餌を食べていたかご紹介します。
ティ―ツリーは葉を、ナンヨウスギやフィグ(イチジクの一種)は葉や実を食べる姿を多く観察出来ました。
このほかにもロットネスト島で見られる多くの植物を餌にしているそうです。
そして商業施設の多い通りの周辺に生息しているクオッカは人の食べ物も食べていました。人が落としてしまった食べ物を拾って食べていたり、中にはクオッカに食べ物を与えている人も見られました。ロットネスト島ではクオッカに餌を与える、触るといった行為は禁止されています。前述のように餌をあげないでくださいという看板が島のいたるところに設置されていたり、レンジャーが巡回をしたりしていますが、残念ながら完全になくすことはできないのが現状だそうです。人の食べ物を食べているクオッカの毛並みはあまり良い状態ではなく、脱毛している個体も多くみられました。また現地ガイドの方が言うには、日常的に人の食べ物を食べているクオッカは寿命が縮み、本来の半分ほどしか生きられないそうです。
毎年70万人もの観光客が来島するロットネスト島ですが、入島料の一部は島の緑化やクオッカの保全活動に使われています。観光客が多く入ることでクオッカの保全活動の費用が賄われている一方で観光客が多いからこその問題も見受けられ、人と野生動物との距離について考えさせられる話もありました。
今回はここまで!
次回も引き続き野生のクオッカについてご紹介していきたいと思います!
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