葛西からやってきたペンギンのその後・・・
2024年5月26日
昨年の9月に葛西臨海水族園からお預かりしている20羽のペンギンたちの様子〈続編〉をお伝えします!
以前のブログで、葛西個体がやってきてからの2か月間の様子についてお伝えしました。その後、さらに半年ほど経った現在までの様子をご紹介します!
こちらにやってきた当初はほとんどプールの周りで過ごしていた葛西個体ですが、11月半ばに♂268と♀129がプールサイドの奥に置いたそれぞれの巣箱に入っているのを確認しました。2羽はそれぞれ相手がいる、別のペアです。(葛西でのフンボルトペンギンの飼育数は100羽以上だったため、個体識別の際に名前ではなく番号がついていました。当園でもその形式を引き継ぎ、葛西方式の番号で識別をしています。)
しばらくはその2羽だけでしたが、2か月ほど経つと次々と他のペアが自分の巣箱を持ち始めました。
1月の終わりには1羽(♀306)が時々営巣地を散策している様子がみられるようになりました。埼玉個体の巣穴が留守になっている時には、ちゃっかり巣穴に入っていることも・・・。埼玉個体の若いオス(♂アキミツ)にくっついて、4羽がヒルズの奥の方まで歩いていることもありました。
そして2月になると、葛西個体が巣箱で交尾をしている様子もみられるようになり、3月2日には2組のペアで初めて産卵を確認しました!♂281と♀129のペアと、♂198と♀306のペアです。♀129は29歳と葛西個体の中で最も高齢ですが、年齢に関係なく(いや、年を重ねているからこそ?!)早々とペンギンヒルズに慣れてくれて安心しました。
- それからはほとんどの葛西ペアが自分の巣箱や巣穴を持ち始め、中には営巣地で産卵したペアも出てきました。産卵ラッシュは続きますが、残念ながら埼玉個体も葛西個体も血統が良くない(日本全体で見てもたくさんいる血統なので増やせない)ため繁殖制限となり、産卵した卵は回収し擬卵(偽物の卵)に替えます。56羽のペンギンたちが次から次へと産卵するので卵のことばかり考えている毎日です。(気づいたら私生活であまり卵を食べなくなっていました!)
頭の中が卵でいっぱいのある日、事件が起きました!
葛西個体♂268が営巣地で巣穴を持ち始めたころ、埼玉個体の♂ザザが巣穴を乗っ取ってしまったのです。闘争した際にどちらもなかなか諦めなかったようですが、最後は♂268が追い出されていました。その後、♂268とその相方♀259は空いている巣箱には入らず、ペンギンヒルズの隅から隅まで散策し、自分が気に入る場所を探しているようです。
5月に入ってそろそろ繁殖シーズンも終わりに近づいてきました。
これからの2か月間は一年で最も採食量が増える期間に入ります。多い時は1羽ごとに普段の2倍の量の餌を食べるので、1.5倍の羽数になった今年は倍以上の餌を準備しなければなりません。卵でいっぱいの頭から、魚でいっぱいの頭になりそうです。。7月後半になれば採食量は落ち着き、今度はペンギンの換羽が始まります。羽でいっぱいのペンギンヒルズになることでしょう。
最初はプールサイドの奥で集まり、飼育係が近くを通るたびに警戒してプールに飛び込んでいた20羽が、緑の丘をたくましく堂々と登っていく姿を見るととっても嬉しく思います。ペンギンヒルズの歴史を刻む56羽のペンギンたちに、ぜひ会いに来てください!
- 須賀飼育係より
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